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資本金というと、会社の規模や信用度が分かるものと考えている方が多いと思いますが、実際に、資本金は会社の信用度とどのような関係があるのか、説明できますか?
今回は、資本金の意味と、金額が大きい会社のランキングをご紹介します。
資本金とは簡単にいえば、「その会社の事業を営む上で必要となる資金」です。主に、外部からの融資や事業利益による内部留保、投資家から出資などの方法によって調達されます。創業時は出資者を集うことも難しいですから、創業者の個人資産から出資して資本金とすることも多くあります。こうして集められた資金の合計額が「資本金」です。
以前は、会社設立時に株式会社は1,000万円、有限会社は300万円の資本金を必要とすることが、最低資本金制度によって定められていました。しかし、2006年から施行された新会社法によってこの制度は撤廃され、現在では資本金1円から会社設立が可能となっています。とはいえ、実際には1円では事業の運営費は賄えませんので、たいていの場合には少なくとも数十万円以上を資本金として創業することが多いです。
企業に投資するために資本を提供するという意味においては、「出資者」と「株主」の違いが分かりにくいかもしれません。広義の意味においては、どちらも「出資者」に変わりありませんが、株式会社の場合は「株主」となるだけで経営に直接関わるわけではありません。一方、合資会社や合同会社の出資者は実務を行う「社員」となります。
資本金の額が大きな会社というと、皆さんのイメージでは「大企業」「安定している」「給料が高い」といったものがあるかもしれません。そのため、資本金が多い会社はいい会社といわれることも多いです。これはなぜかと言うと、バランスシートで考えた場合、「会社の資産=負債+資本金を含む純資産」となりますので、返済義務がない資本金が多ければ多いほど安定している、もしくは信用力がある、ということになるからです。
一般的に自己資本率60~70%あれば優良企業と言われています。
では実際にそうなっているのか、大企業と言われる会社の自己資本比率を見ると、トヨタ自動車は約38%、ソニー(株)は約15%、(株)三井住友フィナンシャルグループは約5%です。決して自己資本率は高くありません。
逆に、新興産業やイノベーションを起こすようなスタートアップの会社を見てみると、利益を生み出す成長力が高いので、自己資本比率が低くても業績が好調な場合があります。また、銀行のように資本の源泉が預貯金である場合には、経営状況が良くても自己資本比率が低くなる傾向があります。
このように、会社の業種やどの成長ステージにあるのかによっても資本金の額や割合は変わりますので、「自己資本比率が高い企業=優良企業」とは一概に言えないのです。
資本金はあくまでも出資された合計額であって、企業の業績とは連動していません。そのため、資本金が多いからといって業績が好調ともいえませんし、仮に赤字であっても企業の魅力が高ければ、出資者は増える場合があります。
アメリカのアマゾン・ドット・コム(Amazon.com, Inc.)は創業後利益をほとんど出さない経営方法をとっているにも関わらず、時価総額では世界1位となったことでも有名です。反対に、仮に業績が悪化したとしても資本金の額は目減りしませんが、資本金の額が多いからといって倒産しないということもいえません。
これらのことから、資本金の多さや業績ですら、企業価値を構成する一部の要素に過ぎないともいえます。
それではここで、日本国内における資本金ランキングを見てみましょう。
順位 | 企業名 | 資本金 |
---|---|---|
1 | 日本郵政(株) | 3,500,000 |
(株)ゆうちょ銀行 | 3,500,000 | |
3 | (株)三井住友フィナンシャルグループ | 2,338,743 |
4 | (株)みずほフィナンシャルグループ | 2,256,548 |
5 | (株)三菱UFJフィナンシャル・グループ | 2,141,513 |
6 | 東京電力ホールディングス(株) | 1,400,975 |
7 | (株)NTTドコモ | 949,680 |
8 | 日本電信電話(株) | 937,950 |
9 | ソニー(株) | 865,678 |
10 | 日産自動車(株) | 605,814 |
※いずれも資本連結額、単位は百万円
1位で3.5兆円となり、1兆円を超える企業は6位までとなりました。
こうして見ると、上位の半数は金融業が占め、電力、通信といった社会インフラ業が続き、製造業となります。金融業の場合には、BIS規制に定められた自己資本比率をクリアしなければなりませんので、事業規模が大きくなれば資本金を多くしていかざるを得ません。銀行が世の中の経済活動の心臓のような役割を担っていると考えれば、金融業が資本金ランキングの上位に並ぶのは当然といえるでしょう。
ちなみに、時価総額で日本のTOP2企業をご紹介すると、時価総額1位のトヨタ自動車(株)は資本金20位で約4,000億円、時価総額2位のソフトバンクグループ(株)は資本金37位で約2,400億円となっています。
ランキングに挙がった具体的な金額を見てみると、資本金が1兆円を超えた企業は東京電力ホールディングス(株)を除けばすべて金融業です。また、その後に続く「ほぼ1兆円」の企業は通信業となって、設備投資などに莫大な資金が必要になる業種となります。
ちなみに、経済産業省の企業統計によると、資本金100億円を超える企業は全体の0.2%となり、最も多いのは1,000万~3,000万の39.3%、日本企業の約70%は資本金3,000万円未満となっています。どういう事業を営むかによって、適切な資本金額も変わりますので、そういった意味でも多ければいいとは一概にはいえません。
資本金とは、企業が事業を運営するために必要な資金の合計額であるにすぎないのです。
以前は、その企業の資産を確認する手段として資本金を見ている傾向がありました。そのため、資本金が多い企業は信用度が高い、つまり出資する価値があるいい会社であると見られていたのです。ところが、資本金は業績連動しないため実情と異なってしまうこともあります。
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