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領収書や契約書を作成される方は必ず目にする「収入印紙」。この収入印紙は何のために必要なのか?収入印紙はどんな時に必要で、購入金額はいくらになるのか?電子契約等ではどのような取り扱いになるのか?といったことについて解説していきます。
目次【本記事の内容】
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収入印紙とは、「国庫の収入となる租税・手数料その他の収納金の徴収のために、財務省が発行する証票」です。納付者があらかじめ、納付金額分の収入印紙を購入しておき、文書に貼付することで、手数料や罰金、税金の支払いが完了する仕組みとなっています。現在は、主に「印紙税」の支払いのために使用されます。
実は、「収入印紙を貼る」行為は、「税金を納付する」ことなのです。法人税や消費税、個人所得税などと違い、税金として表舞台に立つ機会が少ないため認知度が低いですが、印紙税は立派な税金のひとつです。国税局の「印紙税の手引」によれば、
印紙税は、日常の経済取引に伴って作成する契約書や金銭の受取書(領収書)などに課税される税金で、末尾の「印紙税額一覧表」に掲げられている20種類の文書が課税の対象となります。課税される文書に係る納付すべき印紙税の額は、「印紙税額一覧表」に記載のとおり、その内容にかかわらず定額であるものや、契約書の内容や契約金額、受取金額などによって異なるものもあります。
(出典: 国税庁)
と説明されています。よく領収書に収入印紙を貼り付けるシーンを見かけますが、このように印紙税は私たちの生活にも深くかかわる税金なのです。
ちなみに少しだけ経理の話に触れておくと、収入印紙を使った時の勘定科目は「租税公課」になります。収入印紙を買い置きしておくような場合は「貯蔵品」を使います。
前の章でも確認したように、印紙税とは「経済取引に伴って利用される契約書などにかかってくる税金」です。具体的にはどのような書類に印紙税がかかってくるのでしょうか。「印紙税の手引」より、印紙税の対象になる書面の一覧は以下のようになります。
(出典: 国税庁)
例えば第2号文書の「請負に関する契約書」などはよく見かけるかもしれません。請負人が納品物を完成させ、注文者がそれに応じて報酬を払うという契約です。
また第7号文書の「継続的取引の基本となる契約書」も重要です。売買取引に関する契約書などがこれに当たります。
今まで印紙税の対象になる文書を確認してきました。それではこの文書に貼り付ける収入印紙はいったいどこで買うことができるのでしょうか?収入印紙の購入場所について少しだけ見ていきます。
収入印紙というと重々しい印象を受けるかもしれませんが、意外と簡単に購入することができます。市役所や郵便局ではもちろん、一部のコンビニエンスストアでも購入できます。
納税が必要な文書に、収入印紙金額に見合う量を貼り付け、消印を押すことによって準備が整います。
小売店などでレシートに収入印紙をくっつけて、それに消印をする光景を見たことがある人は多いかもしれません。この消印が極めて重要で、これを押印することによって初めて納税が可能になります。収入印紙の交換は郵便局で行うことができます。(手数料1枚5円)
収入印紙が必要な書類には、契約書、領収書の他に、約束手形や為替手形、株券、定款、船荷証券、信用状、通帳などがあります。
納税額が定額なものには、定款や船荷証券、信用状などがあり、不動産売買契約書や、請負に関する契約書、売上代金の領収書などは、課税文書に記載のある金額によって納税額が決まります。
国税庁から出ている「契約書や領収書と印紙税」には、印紙税額の情報が載っています。文書の番号や契約金額によって印紙税額は変わってきます。印紙税額の一覧表の文書別に、必要な印紙税額の例を見てみましょう。なお、記載金額や契約金額は消費税を含みません。
課税文書:特許権の譲渡に関する契約書
譲渡金額:6千万円であった場合
上記の場合、契約者は6万円の印紙税を課税されます。
課税文書:映画俳優の専属契約書
契約金額:2億円
上記の場合、契約者は10万円の印紙税を課税されます。
課税文書:株式会社などを設立する際の定款(原本のみ)
記載金額:なし
上記の場合、定款を作成した会社は4万円の印紙税を課税されます。
課税文書:売買取引基本契約書
特定の記載金額:なし
上記の場合、契約者は4千円の印紙税を課税されます。
課税文書:製品売上に対して発行した領収書
記載金額:7千万円
上記の場合、売主は2万円の印紙税を課税されます。
課税文書:借入金の領収書
記載金額:5万円
上記の場合、領収書を発行した会社は200円の印紙税を課税されます。
次に見ていきたいのは「収入印紙の貼り方と負担」についてです。収入印紙を貼るという作業の中で特に重要なのが、「消印をしっかりする」作業です。前の章でも触れましたが、消印をしなければ収入印紙が無効になってしまいます。
まず印紙税の負担についてですが、領収書ならば金銭を受け取った側(つまり小売などであれば小売店側)が負担するのが通常です。また当事者同士で作成した契約書であれば、両者で折半するのが一般的です。
例えば売上金額が5万円を超える場合、領収書に収入印紙を貼らなければなりません(2020年6月時点)。小売店側が用意した収入印紙を領収書に貼り、消印を押印します。これは収入印紙を再利用されないためのものなので、消印以外の場合はすべて無効になってしまいます。
次に契約書の場合です。契約書の左上に収入印紙を貼るのが一般的ですが、特に取り決めのようなものもないので、双方で添付個所を相談することもできます。領収書と同じく必ず消印をし、収入印紙を再利用できないようにしておきます。
次に収入印紙を貼らないことで起こるペナルティについて見ていきます。収入印紙はこれまで説明してきたとおり、収入印紙を課税文書に貼って消印をすることで、税金を納付するものです。つまり、収入印紙をきちんと規則に沿って貼付・消印しなければ、脱税とみなされることになります。税金を払っていないので、当然罰則がついて回ることになります。納税漏れが見つかった場合にはいくらかの過怠税を要求されることになり、油断していると多くのお金を支払わなければいけなくなります。
税務調査などで、納税漏れが発見された場合は、納付しなければならなかった印紙税の額とその2倍に相当する金額との合計額、つまり3倍の印紙税額を徴収されます。
また、消印がない場合も、消されていない印紙の額面金額に相当する金額の過怠税を徴収されることになっているので注意が必要です。
さらに、過怠税は、その全額が法人税の損金や所得税の必要経費には算入されません。
「印紙税くらい」と軽く考えていると、突然の税務調査で、痛い追徴金を受けることになるので、きちんと収入印紙で納税するようにしましょう。
税務調査で指摘を受ける前であれば、自主的に所轄税務署長へ納付していない旨の申出をした場合、印紙税額の1.1倍の納付で済みますので、自社の印紙税処理に問題がないか、改めて確認してみてください。
印紙税を納付する中で、本来よりも多くの税金を払ってしまう場合があります。例えば領収書に収入印紙を貼る時に、本来よりも1枚多く添付してしまうケースなどがあります。
もちろん救済措置はあります。印紙税を多く納付してしまった場合は、過誤納のあった文書を所轄の税務署に持参し、還付の手続きをすることができます。
最近では電子的な文書を使ってやり取りをする場面も増えています。この場合、印紙税は適用されるのでしょうか?印紙税は作成された課税文書にかかってくるものです。ここで鍵になってくるのは「文書の作成とは何を指すか?」です。
印紙税法基本通達第44条によると、文書の「作成」とは、課税文書になる用紙等に課税事項を書き、これを当該の目的に従って使用することを言います。課税文書が作成された「時」は、場合にもよりますが、交付や認証を以て「作成」したことになります。印紙税法基本通達は以下のように定めています。
2課税文書の「作成の時」とは、次の区分に応じ、それぞれ次に掲げるところによる。(平13課消3-12、平18課消3-36改正)
(1)相手方に交付する目的で作成される課税文書 当該交付の時
(2)契約当事者の意思の合致を証明する目的で作成される課税文書 当該証明の時
(3)一定事項の付け込み証明をすることを目的として作成される課税文書 当該最初の付け込みの時
(4)認証を受けることにより効力が生ずることとなる課税文書 当該認証の時
(5)第5号文書のうち新設分割計画書 本店に備え置く時
(出典:国税庁)
例えば小売店の例を考えてみると、領収書に収入印紙を貼り、それをお客様に渡した時に初めて、「課税文書を作成」したことになります。
そこでもしこれが電子だった場合を考えてみましょう。電子の場合、データを送付することはあるものの、書類を交付するようなことはありません。従って電子的な書類の場合は、印紙税が適用されないのです。
普段仕事でよく使用する収入印紙は、意外と使用の判断が難しく、納税していない場合は過怠税が重いなどの側面があります。
少額だからと油断していると、税務局から指摘を受け、思わぬ金額を支払うことになるので、国税局の規則に沿ってきちんと納税するようにしましょう。
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