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インターンシップは、昨今の新卒採用にとって必要不可欠な存在となりました。就職の短期化に伴い、インターンシップに力を入れる企業はますます増加しています。本来の就業体験としての意味合いを超えて、「早期採用の手段として」インターンシップを開催することが主流となりつつあります。
目次【本記事の内容】
文部科学省、厚生労働省、経済産業省が発表した指針『インターンシップの推進に当たっての基本的な考え方』によれば、以下のように定義されています。
「インターンシップが活発に行われているアメリカでは大学のイニシアチブの有無、実施期間、実施形態等によってインターンシップと呼ぶかどうか区別する場合もあるとされている。一方、我が国においては、インターンシップについては『学生が在学中に自らの専攻、将来のキャリアに関連した就業体験を行うこと』として、幅広くとらえている」
つまり、インターンシップとは、学生が自分の将来設計に関連する就業体験を企業で積むことを指しています。
インターンシップは、企業が学生に提供する就業体験です。しかし、人材確保が困難となる現代では、その開催目的にも変化があらわれています。企業がインターンシップを開催する2つの目的を解説していきます。
就業体験というと、学生側にしかメリットが感じられないかもしれません。しかし、企業側にとってもインターンシップの開催には多くのメリットがあります。
実際の業務や会社の雰囲気を体験してもらうことで、企業と学生が相互に理解を深めることができます。特に中小企業やベンチャー企業にとっては、魅力を発信する場として有効です。大企業と比べるとネームバリューの点で不利である中小・ベンチャー企業でも、やりがいや待遇面など、その企業本来の価値を体感してもらうことができます。
インターンシップでは、実践的な就業体験を学生に提供することができます。企業にとっても、より業務内容と相性の良い人材を見極める場として活用できます。実際の業務や職場の雰囲気を体験させることで、入職後にミスマッチを防ぐ効果もあります。
このように、学生が仕事との相性を確かめるだけでなく、企業側が魅力をアピールする場として活用することもインターンシップの目的です。
しかし、採用市場が激化する現代では、単に就業体験だけがインターンシップの目的ではなくなりつつあります。
原題の新卒採用活動においては、企業が学生にアプローチできる期間が限定されています。2020年卒の新卒採用をみてみると、採用解禁は2019年3月から、その時の学部3年生または院1年生に対して採用活動を開始できます。そして、インターンシップの申し込み開始はさらに前年の2018年6月から、実際の受け入れはその直後から始まります。そのため、積極的な採用活動を行う企業では、インターンシップで早期に学生と接点を持ち、情報解禁となる3月以前から優秀な人材を囲い込むようになったのです。
この流れは企業側だけの話ではありません。19年卒業生への調査によれば、早期内々定者の半数がインターンを経由していることが明らかになっています。もはや、学生にとっても「インターンシップ=選考」という認識は常識となっています。
重要性を増すインターンシップにおいて、企業側はどのような内容を企画するべきなのでしょうか。インターンシップの内容と時期について、解説します。
インターンシップでは、何よりも企業の魅力を学生に理解してもらうことが重要です。インターンシップを通して、学生に企業のどの部分を理解してほしいのか明確にし、内容を組み立てるといいでしょう。
また、学生がインターンシップに求める内容は、大きく以下の4つに分類できます。
①人に会いたい:経営者や会社で働く人の話を直接聞き、質問してみたい。
②体験したい:実際の仕事が自分に合うか試し、会社の雰囲気を確認したい。
③力を試したい:自分のアイディアを人に話し、グループで何かを作り上げたい
④評価してほしい:作ったものにフィードバックをもらい、仕事のアドバイスがほしい。
伝えたい魅力とこの4つを組み合わせて内容を企画すると、企業と学生双方にとって実りのあるインターンシップを企画できます。たとえば、
【魅力:商品力の高さ】+【②体験:商品のマーケティング施策】+【④評価:施策に対するフィードバック】=グループワークでマーケティング施策を企画し、社員がフィードバックする
というような形です。
インターンシップの開催時期は、大きく2つに分けられます。
学生の3年生の夏季休暇に合わせて開催するインターンシップです。早期から計画的に就活を始める優秀な学生が多いため、内定者確保を目的に本格的な絞り込みを行う企業も見受けられます。夏季休暇中で学生も参加しやすいため、数日~数週間かけて長期期間で実施される内容が多くなっています。
この時期は学生の授業や試験と重なるため、一日や半日の短期インターンが主流で開催されます。短期インターンは学生にとっても気軽に企業研究でき、学校でも学生の口コミが広がりやすいとされています。企業は積極的に短期インターンを開催し、多くの学生と接点を持つといいでしょう。
最後に、インターンシップの具体的な開催例を紹介していきます。
一番オーソドックスなインターンシップの形が、仕事体験型です。1Dayインターンシップでも就業体験を提供する企業も多く、特にサービス業においては主流といえます。
例えば、中学生向けの学習塾を経営するステップでは、自分たちで授業のプログラムを考える教師体験型のインターンを開催しています。教師業について学んだうえで、中学生向けの問題を解いたり、それを授業でどう扱うか考えたり、実際に社員からフィードバックをもらったりします。
紳士服チェーン店の青山商事では、マネキン作成体験をインターンシップとして行っています。グループディスカッションでマネキンのコーディネートを協議し、実際に店舗に配置するというものです。
グループワーク型のインターンシップも、体験型と並んで人気の高い内容です。
化粧品会社のコーセーでは、化粧品の商品企画やプロモーション施策の立案を、4日間かけて行うインターンシップで提供しています。グループを組んで話し合いながら企画を組み立て、最後に役員に向けて企画内容をプレゼンします。
損保ジャパン日本興亜ひまわり生命では、3日間のグループワークで保険ビジネスについて体感してもらうインターンシップを開催しています。グループワークを通して実際の保険ビジネスを体験できる内容になっており、学生の意見を迎合するのではなく、厳しくフィードバックを出すところが好評です。
グループワークを成功させるカギは「やりっぱなしにしない」ことにあります。単にディスカッションをさせて終わるだけでは学生の満足度が下がってしまいますので、フィードバックをしっかり行うことが重要です。
長期間インターンでは、宿泊を伴う大規模なインターンシップも話題です。
自動車の買い取りや販売を行うIDOMでは、富士山麓で3泊4日の合宿型インターンシップを行っています。大自然の中で実践的な経験を培い、ビジネスクリエイターとしての気質を身に付けるといいます。
海外に場所を移すインターンシップも登場しています。リクルートでは、「GLIP」という海外派遣型プロジェクトを提供し、ミャンマーもしくはベトナムに6日間滞在させます。現地に進出している日本企業が抱える課題を肌身に感じ、解決策を考えさせる内容です。
このような大規模なインターンシップは予算も必要となるため、業界最大手などの大企業が主に開催しています。就業体験や採用手段としての意味合いを超え、「企業を担う次世代リーダーの育成」という視点で行われるインターンシップ事例です。
インターンシップは単なる「就業体験」の枠を超え、早期に優秀な学生を囲い込む「採用手段」となっています。数年前までは大企業が行うイメージが強いものでしたが、中小企業やベンチャー企業でも年々開催する企業は増えています。採用担当者は、このインターンシップ採用の流れをとらえ、自社に取り入れることを検討するべきです。
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