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近年ひんぱんに聞くワード「パワーハラスメント」。今年はとくにスポーツ界でのパワハラ問題が顕著でしたが、一般企業でも上司からの暴言で自殺にまで追いつめられる、目標達成を迫って人格否定の発言が行われていたなど、さまざまなニュースが報道されています。
この問題は年々深刻さを増しています。2018年9月24日付の日本経済新聞では「全国の労働局に対する労働相談によれば、パワハラを含めた『いじめ・嫌がらせ』に関する相談は17年度で約7万2千件にのぼり、6年連続で最多を更新。厚生省の16年度の調査によれば、企業で働く人の3人に1人が『過去3年間にパワハラを受けたことがある』と答えている」と報道しています。
まもなくスタート! 内部通報制度認証(WCMS認証)とは?
もちろん政府もこれらの実態に対して動いています。
厚生省は年々高くなるパワハラ被害を予防する必要性が高まっているとし、防止策を企業に義務付け、「パワハラ防止対策新法制定」を視野に入れています。
また消費者庁は優れた内部通報制度を整備・運用する企業を高く評価する「内部通報制度に関する認証制度(WCMS認証)」を近くスタートさせます。
ここで耳慣れない言葉を聞いた、と思う方もいるかもしれません。「内部通報制度」とは一体どういった制度なのでしょうか?
これは企業などの組織において、法令や倫理規定に違反する行為の発生、あるいはそのおそれがある場合に、それを察知した人が、通常の方法では報告できないときに、適切に対応できる専門窓口に直接通報できる制度のことを指します。※出典:小学館
内部通報の通報対象は法令違反行為に限定せず、コンプライアンス(法令遵守等)やリスク管理の観点から、公益通報者保護法で定める法令違反以外の通報(法令違反一般、社内規程違反、倫理綱領違反等)についても、受け付け、調査を行い、問題があれば是正をするなど、適切に対応することが重要です。
この内部通報制度を有効に整備・運用している企業を評価するのが、「内部通報制度認証(WCMS認証)」です。認証を受けることで、その企業が適切な内部通報を活用したコンプライアンス経営等を推進するための優れた経営システムを構築しているという「お墨付き」を示し、また消費者等のステークホルダーが認証取得企業を高く評価することで、企業価値の向上や消費者等の安全安心の向上を図ることが狙いです。そしてこの認証を受けるため、実効的な内部通報制度の整備・運用を行う企業が増えることが期待されています。
昨今メディアを賑わせる不祥事は、以下のデータから分かるように、この内部通報制度から発信されるものが多くなってきました。
<不正発覚の始まり>
第一位:内部通報 約60%
第二位:内部監査 約37%
第三位:上司によるチェック 約31%
※出典:「平成28年度 民間事業者における内部通報制度の実態調査」(消費者庁)
では、内部通報制度を実際に運用している企業の内訳を見てみましょう。
≪大企業:99.2% 中小企業:40.2%≫
日本に存在する企業の大半が中小企業と考えると、残念ながら半分以上の会社には備わっていない制度と言えます。また、内部通報窓口を企業【内部】に置いている会社も多いのです。しかし社内の人間に通報することにより、情報が漏洩して逆恨みされる、というようなリスクも考えられます。そういった恐れによって、制度はありながら実際は機能していないケースもあるようです。
中立な対応、匿名性の確保…外部に通報窓口を置くメリット
消費者庁が平成28年に公表した内部通報制度のガイドラインでは、通報窓口を【外部】に設置することを推奨しています。
<社外通報窓口の設置理由は?>
第一位:社内事情に左右されずに中立・構成な対応をとりやすい
第二位:直接の面識がないので、従業員が心理的に通報しやすい
第三位:通報者の匿名性を確保しやすい
※出典:「平成28年度民間事業者における内部通報制度の実態調査」(消費者庁)
社外に通報窓口を設置している企業の約7割は、中立・公正という点を重視しているようです。社外に設置することで、違法行為への抑止力としての機能も果たせることは大きなメリットでしょう。
また第三位にもありますが、通報者の匿名性という点においても、通報者が最も不安に思う点を払しょくすることで、自浄作用を強化できる利点があるのではないでしょうか。
さらに設置理由でのベスト3には上がっていませんが、コスト面の課題解決もあげられます。たとえば同じハラスメントでも、セクシュアルハラスメント(セクハラ)は男女雇用機会均等法で、マタニティーハラスメント(マタハラ)は育児・介護休業法などで企業に防止措置が課せられました。そうすると、セクハラ、マタハラの相談窓口を設けつつ、パワハラが新たに加わり、会社によってはすべての相談窓口が違う、といった事態が起きることもあります。各種窓口を外部に包括的に委託することで、企業にとってハラスメント対策のコストも安くなるというメリットがあるでしょう。
内部通報で問題が明らかになれば、自社内で解決できる可能性がありますが、その機能が働いていない企業の場合、被害者による労働基準監督署への申告や、マスメディア経由での告発という形で問題が明るみになるケースもあります。この場合、企業側が受けるダメージは、非常に大きいものとなるに違いありません。
リスクの早期把握は、企業にとってプラスに働く
内部通報制度は、企業が抱えるリスクの早期把握のための有効なツールと言えます。
このことから、企業がリスクを早期に把握するためには、いかに従業員の立場を守りながら、その環境を整備していくかということが最も重要です。この点が整備されない場合、隠ぺい体質が常態化し、手遅れとなるケースも多々あることを企業は理解する必要がありそうです。
風通しの良い会社ほど「内部通報制度」を一生懸命運営されています。内部通報制度の確立は職場環境を改善するうえでは大きな一歩となるでしょうし、コンプライアンスの観点からの企業価値も上がるでしょう。
NEC VALWAYは公益通報者保護法改正ガイドラインに適用した、内部通報窓口代行サービスを展開しています。昨今では通常の内部通報窓口の問い合わせの他、グローバル人材を採用する企業が増えてきたこともあり、「多言語が可能か」「メンタル相談が可能か」などの質問も目立っています。
多くの不祥事が頻発しているここ数年。各社は危機意識を高めて、不正リスクを最小限にとどめる施策を打つことが急務といえるのではないでしょうか。
記事提供元
NEC VALWAY
NEC VALWAYは、NECグループが保有する知識や技術を活用し、お客様のコア事業の価値向上や新事業創造に貢献する「 IT パートナー」として、あらゆる業務プロセスにおいて、企画・構築から業務運用サービスまでをワンストップでご提供いたします。
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