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2015年9月、ニューヨークの国連本部においてサミットが開催され、150ヶ国を超える加盟国の首脳が集まり、2015年から2030年までの行動目標である『SDGs(エスディージーズ:持続可能な開発目標)』を採択しました。
SDGsは、「貧困」「飢餓」「エネルギー問題」「気候変動」「平和な社会」などに関する17の目標と169のターゲットから成り立っていますが、今回はその中で、目標6として設定されている「安全な水とトイレを世界中に」の詳細と、水やトイレをめぐる世界の現状について解説していきます。
「水」は人間が生きていくうえで欠かせないものですが、世界では、水不足が深刻な状態になっています。
国連開発計画(UNDP)の資料では、全世界のおよそ40%にあたる人が水不足の影響を受けていることが報告されており、影響は今後さらに拡大されることも予測されています。また2017年7月のユニセフ(国連児童基金)とWHO(世界保健機関)の報告によると、世界では21億人(世界人口の約3割)が安全な水を自宅で入手できず、45億人(世界人口の約6割)が安全に管理されたトイレを使うことができていない現状となっているようです。
特に幼い子どもにとって、安全な水や衛生的なトイレは、命を救うものと言っても過言ではありません。なぜなら、多くの子どもが、汚れた水や不衛生な環境からくる下痢や感染症で、命を落としている現実があるからです。
自宅にも街中にも安全で衛生的なトイレがあり、簡単に汚染されていない飲み水を入手できる日本では想像がつきにくいかもしれませんが、世界の水やトイレをめぐる環境は、下記のように厳しいものになっているのです(ユニセフの資料より)。
さらに、紛争や戦争などで不安定な情勢にある地域では、そうでない地域に比べて、子どもたちが基本的な水にアクセスできる割合は4倍少なくなるという報告もあります。
近年は日本においても、地震や台風などの影響で断水が続き、生活のために必要な水を確保できない状況も、一時的に発生していますが、世界では日常的にそうした状況に置かれている人々も多いということです。
自宅近くに水源がない地域の子どもは、長い道のりを歩いて水を汲みに行かねばならず、多くの時間を水汲みに費やすことにより学習の機会を失うなどの影響もあると言われています。
このように、世界の水やトイレをめぐる状況が深刻であることを受け、SDGsでは下記のような具体的な指標が設定されています。
こうした指標をもとに、SDGsの目標6では「すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する」ことが掲げられています。
ちなみにJMP(ユニセフとWHOの共同監査プログラム)では、世界のトイレに関する取り組みは遅れていることを指摘しており、SDGsの目標6で示されたターゲットの進捗状況についてモニタリングすることを表明しています。
またJMPでは、水やトイレとともに欠かせない衛生習慣である「石けんと水を備えた手洗い設備」についても、自宅にこうした設備がある人の割合は地域によって大きな差が見られることも報告されています。
安全な水や衛生的なトイレ、そして適切な衛生習慣は、SDGsの目標3「すべての人に健康と福祉を」や、同じく目標10「人や国の不平等をなくそう」にも関わってくる重要なテーマといえますが、この指標が2030年までに達成されるかどうかは、わたしたちを含めた多くの人たちが、いかに本気でこの問題に取り組むかという点にかかっているのかもしれません。
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