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3月に会社説明会、6月から面接解禁、10月に内定を出すという、経団連の“就活ルール”指針、2021年春から廃止となることが決まりました。就活ルールについては賛否両論ありますが、廃止となったことで就活戦線にはどのような影響があるのでしょうか。
就活ルールそのものが形骸化
就活ルールは、昭和28年に経済界が文部省(現在は文部科学省)や大学側と話し合い、なんらかのルールをつくり、60年余りにわたって続けられてきました。
しかし、経団連に加盟していない外資系やIT系などが、早い時期から採用を進めているため、ルールそのものが形骸化しているといった企業側からの指摘もあり、企業の採用活動の解禁時期などを定めた指針を、2021年春の入社分から策定しないことを、今回、正式に表明しました。
この決定により、企業にも学生にも戸惑いが広がっています。就活ルールが廃止となれば、これまでのような一括での大量採用が難しくなり、採用や雇用の在り方が大きく変わる可能性があります。
就活ルールのメリットとデメリット
とくに、中小企業の悩みは深刻です。大手企業が早い時期から採用活動を開始すれば、売手市場でただでさえ人材確保が困難な中小企業には、人が集まらなくなるという懸念が生じてきます。
また、学生も、送り出す大学側も、いつから就活を始めればいいのか、その見通しが立たない状況に不安感を抱いているようです。
一方、「就職活動できる期間が長くなれば、いろいろな企業を受けることができる」と、就活ルール廃止を歓迎する学生もいます。
就活戦線が過熱化するなか、経団連加盟の企業にも、ルールを守らないところも出始めていたため、公平性に疑問を抱く声もありました。
雇用スタイルの変化がもたらすもの
就活ルール廃止は、各方面に影響を及ぼすことが予想されますが、なかでも一番大きいのがこれまでの採用方法や雇用の在り方です。
これまでの新卒者を一括で大量に採用するという採用方法は、終身雇用が前提の高度経済成長期だからこその方法です。
一括で大量に採用するということは、優秀な人材ばかりを採用するわけではありません。むしろ、どの部門でも平均的に務まるようなタイプが大半を占めていたようです。しかし、その中からそれぞれの適性に合わせて、じっくりと育成していくという余裕が、高度成長期の企業にはありました。
根本から見直す必要に迫られる人材採用計画
しかし、それは過去の話です。グローバル化が進行する現代では、そんな悠長なことでは競争に乗り遅れてしまいます。通年雇用で、より専門性の高い優秀な人材を確保していかなければ、厳しいグローバル競争を勝ち抜いていくことができないというのが大方の認識です。
でも、就活ルール廃止の影響が大きいと予想されることから、中小企業の採用面や学生への影響を最小限にとどめるべきだという意見もあり、今後は新たなルール作りに向けて、政府が経団連や大学の関係者も交えた協議会を設置する方向のようです。
いずれにしても、日本型の雇用体系である終身雇用も、いまの時代にはそぐわなくなってきたという指摘もあります。その一方で、働き方改革が叫ばれ、契約社員や派遣社員の増加、さらには副業を推奨する動きもあります。
働き方そのものの変化にともない、採用方法も必然的に変わろうとしているようです。人材採用の窓口となる総務、人事担当者にとっては、悩み多き時代となりそうです。
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