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経費精算のルールを作成することは、経費使用のムダ抑制や法的リスク回避、経理部門の手間軽減、節税など多くのメリットがあります。本記事では、経費精算のルールを作成する目的、および経費精算のルールとして必要な項目・注意点について解説します。
目次【本記事の内容】
経費精算のルールを作成することには多くのメリットがあります。経費精算のルール作成の目的は以下の通りです。
経費精算のルールを作成することにより経費使用のムダを抑制できます。ルールがない場合には、たとえば出張の際の食事代や宿泊費を多く申請してしまうなど、必要以上の経費使用があり得ます。ルールを社内に周知することにより、必要以上の経費使用に対する抑止効果が期待できます。
経費精算のルールを作成することにより、法的リスクを回避し経費使用を適正化する効果も期待できます。経費精算のルールがないと、経費が不正使用され、管理責任を問われることで社会的信用が失墜する法的なリスクがあります。グレーゾーンを残さずに経費精算のルールを定めることにより、経費使用の妥当性を誰でもが判断できるようになり法的リスクが回避されます。
経費精算のルールを定めることにより経理部門の手間を軽減できます。会社が小さい頃はそれほどの手間でもなかった経費精算も、会社が大きくなって社員の数が増えるにつれ、出張や交際費使用などの頻度も増え、かかる労力は大きくなります。
経費使用についての会社のルールが経理部門だけで共有されている場合には、経費使用の妥当性を経理がすべて判断しなくてはなりません。また、ルールに反した経費の使用があった場合は差し戻しを行い、差し戻しの理由をいちいち社員に説明することも必要です。
経費精算のルールが全社員で共有されていれば、経費使用の妥当性を社員が自ら判断することができます。差し戻しの必要も減り、経理部門の手間は軽減できます。
経費精算のルールを作成することにより社員の不公平感が解消されます。はっきりとしたルールがないと、「上司の個人的な感情によって経費の支給が増えるのでは?」など、あらぬ誤解を社員から受けることがあるからです。
経費精算のルールを作成すると、税務調査の信頼性が上がります。経費精算のルールにより経費使用の妥当性が高められているとみなされるからです。
経費精算のルールがあれば、出張時の旅費・日当が経費として計上でき、企業と社員双方にとって節税の効果があります。出張時の旅費・日当について国税庁は、
(1) その支給額が、その支給をする使用者等の役員及び使用人の全てを通じて適正なバランスが保たれている基準によって計算されたものであるかどうか。
(2) その支給額が、その支給をする使用者等と同業種、同規模の他の使用者等が一般的に支給している金額に照らして相当と認められるものであるかどうか。
を判断基準に「経費として認める」としているからです。したがって、企業にとっては、経費精算のルールを作成することにより法人税・消費税・住民税を節税できます。また、社員にとっても所得税と住民税の節税になります。
非課税とされる旅費の範囲については、国税庁のホームページに詳しく記載されています。また、非課税とされる旅費の範囲を超える部分を、どのような所得区分にしたらよいかもあわせて記載されています。参考にしてください。
上で見たとおり、経費精算のルールを作成することには多くのメリットがあります。それでは、実際に経費精算のルールを作成するに当たり、必要となる項目および注意点を見ていきましょう。
経費精算のルールでは、ルールの目的と適用の範囲を冒頭に明示します。「業務のために社員が支出した経費について定める」などとするのが一般的でしょう。適用の範囲については、役員や正社員のみを対象とするのか、非正規社員やアルバイトも含めるのかについても明確にしておきます。
業務のために支出する経費として、何が認められて何が認められないのかについて明示します。
出張
出張については、まず出張の定義をはっきりとさせましょう。一般に、
・宿泊を必要とする出張
・片道100km~200km以上の移動をともなう日帰り出張
を「出張」として認める企業が多いようです。100km~200km未満の場合は「単なる外出として交通費の実費を支給し日当は支給しない」なども明記しておきましょう。
そのうえで、出張に関連する経費の何がどのように認められるのかについて列挙します。
・交通費
移動手段のうち航空機や電車などによるものは、エコノミークラスでなければいけないのか、ビジネスクラスやグリーン車など上位クラスが許容されるのはどのような場合なのかについて明示します。また、どのような場合に自家用車やタクシー・レンタカーなどの使用が認められるのか、および自家用車を使用した際に認められる経費(「最大○○円/km」など)についてもはっきりとさせましょう。
・宿泊費
宿泊するホテルについては、優先的に選択すべき予約方法を規定しましょう。そのうえで、宿泊代と日当の上限について明示します。
・飲食費
出張にともなう飲食費の上限を、朝食、昼食、夕食に分けてはっきりと規定します。
・その他の経費
支度料(出張が長期にわたる場合)、渡航手続費(海外出張の場合)、通信費(レンタルの携帯電話やポケットWi-Fiなど)がどのような場合に上限をいくらまでとして認められるのかを規定します。
・出張の手続き
出張の手続を、たとえば以下のように明確にします。
・出張申請・・・出張申請書を上長に提出し承認を受ける
・仮払申請・・・仮払申請書を提出することにより仮払いが受けられる
・出張期間中の勤務時間および休日
出張中の勤務時間および休日の取扱いについて明示します。出張中の勤務時間については算定が難しいため「所定労働時間の勤務とする」と規定するのが一般的です。出張期間中の休日については、業務を行った場合と行わなかった場合について宿泊費・日当を支給するのかどうか、休日に業務を行った場合には振替休日を認めるかどうかについてのルールが必要でしょう。
・出張中の事故・災害について
出張中の事故や災害について規定します。海外出張の場合には会社を受取人とした障害・疾病・生命保険等に加入することを義務付けることが必要でしょう。また、事故・疾病・災害などのために日程を変更し滞在を延長することになった場合、日当や宿泊費の取扱いをどのようにするのかもルールが必要です。
交際費と会議費
交際費については、原則として全額が損金不算入で、経費として計上することはできません。ただし、得意先との飲食費に関しては、
・一人あたり5,000円を超える飲食費については、50%が経費となり非課税
・一人あたり5,000円以下の飲食費については、全額が経費となり非課税
となっています。飲食費以外の、
・ゴルフや観劇、旅行などのイベントに際しての飲食費
・得意先を飲食店へ送迎するための費用
・飲食物の詰め合わせなどを贈答するための費用
などは全額が課税です。ただし、飲食費を非課税とするためには、
・飲食を行った年月日
・飲食に参加した得意先の氏名と会社名
・参加人数
・飲食費の総額と、飲食店の名称・所在地
などの事項を記載した書類の保存が必要です。
社員のみで行った飲食は、「社内飲食費」となり非課税の対象となりません。交際費として全額課税で計上することになります。
また、得意先と会議をする際の飲食代(茶菓子、弁当代など)は、「会議費」となり交際費には含まれません。したがって、金額に関わらず経費になり非課税です。
その他の経費
その他に経費として認められるものがある場合には、それらをすべて列挙し、必要なら上限の金額を指定します。
経費の精算方法について「経費精算書に記載のうえ費用発生から○○日以内に提出する」などと指定します。領収証またはレシートの添付も義務付けましょう。上司の事前承認が必要な経費の精算方法(事前承認書を添付するなど)および領収証がない経費の精算方法(一切認めず自己負担とするなど)についても規定しましょう。
経費の精算には原則として領収書が必要です。しかし、
・電車やバスなどの運賃
・ETC利用料
・得意先の人と移動中に自動販売機で現金購入した缶ジュース代
・打ち合わせをして割り勘で支払った喫茶店代
・得意先へのご祝儀や香典
など、領収書をもらうのが難しいケースもあります。また、もらった領収書を失くしてしまうこともあるでしょう。
その場合には、支払いの事実が証明できる書類をできる限り保存します。支払いの事実が証明できる書類とは、たとえば、IC乗車券の利用履歴、通帳や口座振替のお知らせ、クレジットカード利用明細書、慶弔関係の招待状などとなります。
また、支払いの事実が証明できる書類がない場合には、手帳や出金伝票などに経費の支払いについての詳細を記載し、保存しておくことが大切です。記載する内容は、
・支払いをした日付
・支払いをした相手の名前
・支払った金額
・支払った目的、品物などの内容
が最低限必要です。
現金での支払いが多い場合は、現金出納帳を作成するのもよいでしょう。現金出納帳は時系列上に入金・出金が記録されるため、適切な入出金が行われていることを示す証拠となります。
なお、マネジーでは経費精算のテンプレートを用意しています。汎用性が高い経費精算書が2種類と、仮払精算書、および立替経費精算書が2種類です。こちらもご活用ください。
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その他の経費精算システムの詳細はこちらからご確認ください。
経費精算のルールを作成することは、経費のムダ抑制や、経理部門の手間の軽減、節税効果など多くのメリットがあります。実際に経費精算のルールを作成する場合には、細かな経費の取扱いまで一つ一つ規定することが必要です。また、経費精算のルールは定期的に見直しを行うことにより、改訂していくことも必要でしょう。
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