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海外に比べ低いとされている労働生産性をいかに高めていくか、それが日本産業の大きな課題です。ところで、労働生産性は一体どういうことなのか、そして労働生産性を高めていくためには、どうすべきなのでしょうか。
目次【本記事の内容】
労働生産性とは、公益財団法人日本生産性本部の定義によると「労働投入量1単位当たりの産出量・産出額」で、簡単にいうと労働者1人当たり、または1時間当たりの労働時間でどれだけの成果を生み出したかを示す指標です。
労働生産性は、生産量や生産個数を成果とする「物的労働生産性」と、労働者数・労働時間あたり、どれだけの付加価値を生み出せたのかを示す「付加価値労働生産性」の2つに大別されます。
物的労働生産性は、生産量を労働者数で割ることで、従業員1人当たりの物的労働生産性を算出できます。また、付加価値労働生産性は、売り上げから原材料費や運送費などの諸経費を引いたもので、付加価値額を労働者の数、または時間で割って算出するのです。
ところで、日本の労働生産性ですが、「労働生産性の国際比較2021」(日本生産性本部)によると、時間当たりの労働生産性はOECD加盟38か国中23位です。データ取得が可能な1970年以降最も低い順位で、主要先進7か国の中では最下位という状況が続いています。
では、なぜ日本の労働生産性は、諸外国に比べて低いのでしょうか。その要因はいろいろありますが、その一つと指摘されているのが長時間労働です。
1人当たりの労働生産性でも21位と低迷していますが、生産性を高めようと思えば労働者の業務量を増やすことになります。ところが、業務量の増加に伴い労働時間も長くなり、残業代も増加します。
結局、利益率が下がり生産性も低下することになります。生産性が高まれば、賃金も高くできますが、日本では、まさに“負のスパイラル”に陥っていると言えるのではないでしょうか。
では、労働生産性を高めていくためには、何を、どのようにすればいいのでしょうか。ここで押さえておきたいのは、日本の労働生産性が低いと言っても、決して日本の労働者がサボっているからではありません。
むしろ、夏に長期のバカンスを取得し、ランチにもゆったりと時間をかける欧州各国と比べると、日本の労働者は残業や休日出勤も厭わずに働く勤勉さが持ち味です。それなのに、日本の労働生産性が低いのは、生み出す成果の付加価値が低いからです。
つまり、懸命に働いているのに、儲けが少ないわけです。長時間労働を減らし、労働生産性を先進国並みに高めていくためには、無駄な業務の効率化、利益に直結する仕事に集中して取り組めるような労働環境の改善が必要です。
たとえば、業務システム構築ツールを活用することでも、業務を大幅に短縮でき、引き継ぎの労力や伝達ミスの削減も期待できるようになるでしょう。
また、データを社員間で共有することで、更新や集計を自動化することができ、請求書などの帳票類を作成する日常業務についても、デジタル化などで効率化に取り組むことができます。まずは日常業務の無駄を見直すことが、労働生産性向上の第一歩になりそうです。
日本の労働生産性が低い要因に、日本型の終身雇用制や年功序列の賃金体系によって、企業が多くの余剰人員を抱えていたことも挙げられています。それが、他の先進諸国がデジタル技術を積極活用して、少ない人数で高付加価値の商品やサービスを生み出してきたIT革命に、日本が乗り遅れてしまった要因とされています。さて、ようやく取り組みが始まった働き方改革によって、日本の労働生産性は欧米諸国と肩を並べられる水準に達するのでしょうか。
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