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世界経済フォーラムは、スイス東部ダボスで開催中の年次総会“ダボス会議”で、インターネット上の仮想空間「メタバース」に関する官民の国際連携枠組みを立ち上げたと発表しました。こうした動きにより、メタバースによる社会活動や経済活動が実際に可能となるのでしょうか。
メタバースとは、「meta=超越した・高次の」と「universe=宇宙・世界」を組み合わせた造語です。インターネット上の仮想現実空間で、ユーザー同士のコミュニケーションや現実のようなライフスタイルを送ることができる世界です。
“メタバース”という用語が最初に使用されたのは、SF作家・ニール・スティーヴンスン氏の作品(1992年)ですが、VR・AR 技術の進歩や、ブロックチェーンなど新しいテクノロジーの進化によって、夢物語だった仮想世界がより現実に近づいています。
それを物語るように、ダボス会議には60以上の各国の企業や機関が参加しています。今回、立ち上げた国際枠組みでは、メタバース活用拡大に伴う利益やリスクを含め、社会や経済への影響などメタバース利用者の安全性確保や規制についても活発な議論が交わされました。
メタバース活用が先行しているのはゲームの世界です。「フォートナイト」や「あつまれどうぶつの森」が有名ですが、そこでのアバターやゲームで得た通貨はゲーム内でしか通用しないものです。
ところが、ブロックチェーン技術とNFT(非代替性トークン)を活用したメタバースのプラットフォームにより、社会活動や経済活動を行うことが可能な空間となり、経済価値の創出も具体性を帯びてきました。
さらにFacebookが社名を「メタ」に変更したこともメタバースの注目度や認知度を急上昇させ、ビジネスでのメタバース活用の流れは、ますます加速していくものと考えられています。
日本国内では、KDDIがサッカー日本代表戦の観戦イベントとして開催した「バーチャル渋谷」や、IMAGICA GROUPが「東京ガールズコレクション」でメタバースを取り入れたファッションショーを披露し、メタバースの認知が広がっています。
AppleやMicrosoft、Googleなどの米国大手企業もメタバース参入を続々と表明しています。米国の市場調査・コンサルティング会社「Emergen Research」は、 2028年のメタバースの市場規模は8,289.5 億ドル(日本円で約 95 兆円)になると予測しています。
メタバースの世界を支える仮想空間やアプリケーション、サービス、そしてそこで行われる膨大なデータ通信など、そこから広がるビジネスの可能性に、世界中が熱い視線を注いでいることがわかります。
日本でも、パナソニック、バンダイナムコホールディングス、スクウェア・エニックス・ホールディングス、ソニーグループ、博報堂DYホールディングスなどがメタバース参入を表明しています。
現段階では世界に比べデジタル化の遅れが指摘されている日本ですが、メタバース主要技術(XR)の特許件数では、世界2位につけています。今後の日本企業の奮闘に、大いに期待したいところです。
VR技術の進化や5Gの普及によって、メタバースはますます勢いを増していくと予想されます。メタバース上で仕事をする時代が、やがて訪れるのかもしれません。
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