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企業にとって税理士は不可欠な社外協力者です。しかし、毎月の記帳代行と11月から翌年5月までの年末調整、確定申告書作成、決算書作成、税務申告などを税理士の役割と認識し、それ以上の役割を期待する企業は少ないようです。ところが、税理士はこれらの業務以外にも税務関連のさまざまな業務を行っており、「企業の経営参謀」的な役割を発揮する存在です。
ここでは、企業が経営の健全性や市場競争力を高められるよう、税理士に自社の経営参謀的役割を果たしてもらうために、経営者と経理・経営管理部門の社員が知っておきたい税理士業務の全体像と繁忙期の業務を解説します。
税理士と公認会計士は「似て非なる士業」といわれています。その理由は、税理士と公認会計士の次の違いにあります。
●税理士
・税務代理、税務書類作成、税務相談の3業務を独占できる
・税務付帯業務を行っている
・顧問先(業務受託先)は個人事業者から大企業まで多岐にわたる
●公認会計士
・法定監査、任意監査、国際的監査の3業務を独占できる
・所定の研修を受講して税理士会へ税理士登録を行えば、税理士の独占業務もできる
・監査の専門知識を活かし、財務・会計に関する専門的な助言を行うコンサルティングサービス「FAS(Financial Advisory Service)」を行っている
・顧問先は大企業と外資系企業が大半
税理士が行っている業務は、次の税理士法に基づく独占業務と税理士任意の付帯業務に大別できます。そして両業務とも、個人事業者や法人と顧問契約を結んで行うケースが大半です。
●税理士の独占業務
(1)税務代理
税務関係書類を国税局・税務署へ提出しなければならない時、税理士が納税者を代理して書類を作成・提出します。
(2)税務書類作成
所得税・消費税・法人税などの確定申告書類作成、年末調整、法定調書の作成、決算書作成など、税務書類の作成代理を行います。
(3)税務相談
個人事業者の所得税・消費税の税額計算・納税など税金の相談、法人の節税対策・決算対策に関する相談、税務調査立ち会いに関する相談など、税務に関するさまざまな相談に対して、適法かつ適切な助言を行います
●税理士の主な付帯業務
(1)巡回監査
税理士の代表的な付帯業務です。顧問先の経営課題に対するさまざまな相談に対し、適法かつ適切な助言をします。
具体的には顧問先を毎月定期的に訪問し、主に、
・記帳代行
・会計帳簿/月次決算書の作成支援
・事業計画策定の助言
・資金調達計画や運転資金調達の助言
などを行います。
(2)自計化指導
自社の経営状況をリアルタイムで把握し、適切な対策を講じるためには日次・週次・月次決算が欠かせず、そのためには顧問税理士に依頼していた決算処理すべてを社内で行う「自計化」が必要です。
税理士はこの自計化において、経理ツールを活用した自計化の導入・運用習熟訓練を指導します。
(3)相続税・固定資産税申告の助言
相続税や固定資産税を適法に節税するためには、毎年改正される税法とその国税庁通達(法令解釈)に精通した専門知識と早期準備が必要になります。
税理士は相続税・固定資産税の節税対策と納税資金の調達に関し、適切な助言・指導をします。
(4)会社設立支援
個人事業者が法人成りするための会社設立に際しては、
・資本金の設定と出資者集め
・事業目的と事業内容の決定
・決算期決定
・定款の決定と認証
・会社設立手続き
・メインバンク選定
など、個人事業者にとっては未経験のさまざまな手続きが必要になります。税理士はこれらの手続きを円滑かつ迅速に行う支援をします。
(5)その他の付帯業務
税理士は上記以外にも、
・資金調達支援……国や自治体の補助金・助成金の支給申請、政府系金融機関・民間金融機関からの資金調達に関する助言
・中小企業の事業承継支援……事業承継を目的とした友好的M&Aによる会社売却選定の助言
・中小企業の会計参与就任……会計参与として中小企業の役員に就任し、他の役員と共同で計算書(貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書などの法定開示書類)を作成し、株主・債権者の求めに応じて開示
・税務訴訟において訴訟代理人である弁護士と共に裁判所へ出廷し、弁護士の補佐人として納税者の正当な権利・利益を陳述
なお税理士の業務形態は、「税理士事務所」と「税理士法人」に分かれています。
税理士事務所は、税理士が個人事業として事務所を経営し、税理士法人は2名以上の税理士が共同経営者として法人を設立、事務所を経営しています。
税理士事務所の業務運営形態は、事務所の規模により異なります。
おおむね所長税理士以下5名程度の規模の事務所です。
顧問先は経理専任者を配置できない個人事業者と零細企業が大半なので、主に月々の記帳代行、税務書類作成、巡回監査などを行っています。
個人事業者や零細企業において、このような事務所の税理士は、経営上の悩みを何でも相談できるパートナー的な存在になっているケースが多くみられます。
おおむね所長税理士、被雇用者の税理士2~5名、従業員20~50名で経営している事務所です。
顧問先は中小・中堅企業が多く、業務別チームの分業体制で運営をしているケースが大半です。事務所側に人的余裕があるので、顧問先にとっては付帯業務を委託しやすいメリットがあるといわれています。
おおむね所長税理士以下税理士6名以上、従業員50名以上の事務所です。国内トップクラスの法人や国際ファームとなると、1000名を超える社員規模になります。
顧問先は大企業と外資系企業が大半です。このため国内税務から国際税務・海外進出支援、株式上場支援、新事業開発支援、事業売却・買収、会社分割など税務に関わる広範な経営支援業務を行っています。
相続や譲渡所得などの資産税、国際税務、M&A税務、不動産投資信託税務など特定の税目に特化した業務を行っている事務所です。
特化業務に関する専門知識と経験が豊富なので、一般の顧問税理士が対応できない難問の税務案件が突発的に発生した際の業務委託先に向いているといわれます。
また医療機関、外食産業、建設業など特定業種の税務に特化した事務所もあります。
税理士は、一般に11月後半から翌年5月にかけて業務の繁忙期に入ります。個人事業者と法人が税務署へ提出する書類作成がこの時期に集中するからです。
税理士は具体的に、だいたい以下のスケジュールで業務を行います。
●11月後半~12月:年末調整
・顧問先の年末調整の代行……年末調整各種申告書の確認、納税額計算、源泉徴収票作成など
●翌年1月~3月:給与支払報告書作成、法定調書作成、償却資産税額申告、個人事業者の確定申告書作成
・給与支払報告書を作成し、1月31までに市区町村へ住民税額を申告
・償却資産税額を1月31日までに市区町村へ申告
・法定調書を作成し、1月31日までに税務署へ提出
・個人事業者の確定申告書を作成、2月16日から3月15日の間に税務署へ提出
●翌年3月~5月:法人の確定申告書作成
・法人の決算書を作成し(3月決算の場合)、決算月末日から2カ月以内に法人税・消費税・法人税の確定申告書を作成、税務署へ提出
なお、6月~11月前半は閑散期に入り、この期間は巡回監査と月次決算書作成が税理士の主な業務になります。
したがってこの時期に、税理士の独占業務である税務相談をはじめ、
・自計化推進
・資金調達
・事業承継
・会計参与就任の打診や要請
など、付帯業務に属する相談・依頼をすると、税理士は対応しやすくなります。
企業である以上、経営に関するさまざまな悩みや課題を抱えています。そして税理士は、税務の視点からこれらに関する豊富な専門知識と知見をもっています。しかも顧問先の経営に関する悩みや課題に対しては、顧問先の財務状況に精通しているので、適切な解を導き出すことも可能です。「企業の経営参謀」といわれるゆえんでもあります。
したがって、閑散期こそ自社の経営に関するさまざまな悩みや課題を顧問税理士に相談し、その真価を発揮してもらう時期といえます。それが顧問税理士との賢い付き合い方といえるでしょう。
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