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ハラスメント防止法の適用が、今年4月から中小企業にも拡大されたことで、企業規模にかかわらず、事業主にはハラスメントを防止するための対策が義務化されました。厚生労働省は「ハラスメント対策導入マニュアル」を作成し、パワハラの予防・解決に向けた措置をとることを推奨しています。しかし、経営者からは“その対策では不十分”という声も上がっています。
目次【本記事の内容】
従業員総活躍を実現するHRサービス、Humap(ヒューマップ)を提供する株式会社アスマークが経営者(30人)に実施した「ハラスメント対策」と「企業制度」の調査によると、およそ4割の経営者が「既存のハラスメント対策は効果的ではない」と考えていることがわかりました。
調査概要
調査対象者:企業・団体の経営者・役員(全国/男女/ 従業員規模数30名以上)
回答数: 30サンプル
調査期間: 2022年3月29日~3月30日
調査方法: インターネット調査
調査機関: 従業員総活躍サービスHumap(株式会社アスマーク)
【あなたの職場ではハラスメント対策は十分か】
・あてはまる 23%
・ややあてはまる 23%
・どちらともいえない 33%
・ややあてはまらない 7%
・あてはまらない 13%
ハラスメント対策を十分と受け止めている経営者も半数を超えています。しかし、法律によって防止措置が義務化されても、ハラスメントによる不祥事はなかなかなくなりません。
では、ハラスメントによる不祥事が起こる原因は、どこにあると経営者は認識しているのでしょうか。「組織の問題」はわずか3%で、「個人の問題」が17%です。「どちらかといえば組織の問題」が40%、「どちらかといえば個人の問題」が共に40%という結果でした。
事業主に義務付けられているハラスメント防止対策は、事業主の方針を明確にし、その方針を周知・啓発、相談・苦情に対応する体制整備、相談を受けた場合は事実関係を確認し適正に対処、相談者や行為者等のプライバシーの保護などがあります。また、ハラスメントの原因や背景となる要因を解消するために必要な措置を講ずることです。
これらのハラスメント防止対策で、経営者が効果的と思っているのは「相談窓口の設置」(27%)、「ハラスメント研修」(20%)、「実態把握アンケート」(10%)、「トップメッセージ」(7%)ですが、一番多かったのが「効果的だと思うものがない」(37%)です。経営者のおよそ4割がハラスメント対策の効果に疑問を抱いています。
また、パワハラ被害を受けても4割以上の被害者が「何もしなかった」ことが、アスマークの調査で明らかになっています。
では、なぜ被害者は「何もしなかった」のでしょうか。その理由の中に、ハラスメント対策の難しさを見ることができます。
もっとも多かったのが「無駄・解決不能」で、次に「不利益不安」、「我慢すればよい」です。たとえ上司や相談窓口に訴えても簡単には解決できないこと、そして相談することで自分が不利益を被るのではないかという不安が、従業員の中にはあるようです。
その結果、“我慢”することにつながるわけです。しかし、このまま受け流しているだけでは、いつまでたっても職場からハラスメント被害がなくなることはないでしょう。我慢をすることで、むしろ事態を悪化させてしまうことも考えられます。
職場の雰囲気にもよりますが、ハラスメント被害者が「相談・通報窓口」に相談したことで、「適切な対策、再発防止措置が取られた」と44%が感じていること、また「事実関係が迅速かつ正確に把握された」と59%が感じているという調査結果もあります。
対策が義務化されたことで、いきなり相談窓口となった担当者にとっては、どのように対応すべきか、事実確認をどのように行うべきかなど、戸惑うことも多いでしょう。それが、対策の効果について、半信半疑になっている背景にあるのかもしれません。
「ハラスメント対策導入マニュアル」には、社内相談窓口の設置や運用、相談対応の方法なども盛り込まれていますので、それらを参考にハラスメント対策に取り組んではいかがでしょうか。
ハラスメントは、個人の問題ではなく会社の問題であり、大きな社会問題でもあります。相談窓口を設置しても、ハラスメント研修を実施しても、すぐに効果は出ないかもしれません。しかし、その効果はやがて徐々に表れてくるのではないでしょうか。
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