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2月4日に行われた日本弁護士連合会の会長選挙で、東京弁護士会所属の小林元治弁護士(33期)が会長に選出されました。任期は4月1日から2年間です。
新会長となった小林元治弁護士は「若手や女性弁護士を支援したい」と抱負を語っています。
全国約4万3,000人の弁護士の頂点に立つのが、日本弁護士連合会の会長です。弁護士の間では「日弁連会長は持ち回りの名誉職」ともいわれています。弁護士の指導や監督を行う組織のかじ取りを担う“長”で、重要な役割です。
今回の会長選挙には3人が立候補しました。小林氏は8,944票を獲得し、全国52の弁護士会のうち39の弁護士会でトップに立ち、2月14日の選挙管理委員会で正式に会長就任となりました。
小林氏は岡山県出身です。地元の津山高校から中央大法学部に進み、1981年に弁護士登録しています。法的扶助(リーガルエイド)の分野に積極的に取り組むほか、法テラスの制度設計にもかかわり、日弁連副会長や東京弁護士会会長などの要職を務めてきた法曹界の重鎮です。
日弁連会長の就任会見で、小林氏は「コロナの中で、市民のみなさんのお役に立てる日弁連でありたい」と抱負を述べています。とくに注目したいのが「女性と若手弁護士の活躍機会を増やし、日弁連を変えていきたい」という発言です。
弁護士は若手や女性の割合が増えています。法テラスの民事法律扶助や国選弁護の弁護士報酬が低く抑えられている事例も多いことから、「労力に見合った報酬を得られるよう議論していきたい」という点を強調しているのです。
報酬の引き上げについては、弁護士業務にかかわらず、一般企業でも同一労働同一賃金の実現が叫ばれています。同じ業務をしているのに、報酬が正社員よりも非正規社員が低く抑えられている状態が続けば、いずれ人が集まらなくことも考えられます。
ましてや、民事法律扶助や国選弁護の弁護士費用が低く抑えられているようでは、国民の権利や人権擁護のための弁護活動にも支障をきたすようになることも考えられます。そのため、その点に触れた新会長の手腕には、若手や女性弁護士から大きな期待が寄せられているのです。
とくに女性弁護士の活躍機会が増えると期待を集めているのが、日弁連内にダイバーシティ&インクルージョン(D&I)推進室を設け、弁護士会内のジェンダーバイアスやセクハラ、パワハラ撲滅につながる取り組みを進めていこうという構想です。
ところで、日本弁護士連合会(日弁連)という組織は、単なる弁護士の親睦団体ではありません。弁護士法第45条にもとづく法人で、日本国内で弁護士として活動を行うためには、各地の弁護士会に所属しなければならず、各弁護士会は,必ずこの日弁連に加入しなければなりません。
つまり、日弁連は日本中の弁護士が加入する団体の総本山ともいうべき存在で、弁護士や弁護士法人の品位を保つための指導、監督を行うことが目的の組織です。
そもそも弁護士会は、弁護士自治が確立された監督官庁の縛られることのない自由度の高い組織です。しかし、時には国と対峙したり、全国的な活動が求められることもあり、全国規模の組織が必要となったわけです。
ですから、日弁連が主体となって、国に行政や立法に関する意見や抗議を申し入れることもあります。また、国民に対する法教育や法律相談なども行うなど、かなり幅広い活動を行っているのが日弁連という組織です。
弁護士の活動は、監督官庁に縛られることがないため、比較的自由に動けます。しかし、最低限の節度は必要です。不祥事を起こした弁護士の弁護士登録を取り消す権限も日弁連にはあり、監督、指導するのも日弁連の大切な役割です。
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