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DX推進や業務効率の向上を目的に、経費精算システムの導入を急ぐ企業が増えています。
企業のIT化はずいぶん以前から進んでいたはずですが、なぜ今になって経費精算のシステム化が急がれているのでしょうか?
今回は経費精算システムの導入が急がれる背景や導入のメリット、システム選定のポイントや導入までの流れについて解説していきます。
各企業が経費精算システムの導入を急ぐのは、解決しなければならない課題と相応の理由があってのことです。ここでは、経費精算システム普及の背景について確認していきましょう。
●テレワークの必要性と働き方改革
昨今の新型コロナ感染拡大の影響で、企業はテレワークの必要性に迫られました。発端は思いもかけない事態(感染拡大)によるものでした。
しかし、テレワークは働き方改革を実現し、人材確保につながることが明らかになったのも事実です。
テレワークを導入すれば、介護や子育てのために離職する必要が減ったり、遠方や海外にいる優秀な人材を継続して雇用できるなどの可能性が高まります。
これは労働力が年々減少している日本においては、重要な施策となるのです。
ところがこのテレワークの利用率が一番低かったのは、バックオフィスだったといわれています。
ある調査によれば、企画・マーケティング部門が66.1%の実施率だったのに対し、経理部門は半分以下の31.7%。また、毎日テレワークを実施できている経理担当者はわずか17%で、まったくテレワークができていない担当者は50%にも上ったのです。
これらの原因は、バックオフィスの「紙文化」と「ハンコ文化」だといわれています。このような状況を改善するには、決済のDX化が必要です。
●業務効率改善の必要性
バックオフィス、とくに経理部門の悩みは業務が月末に集中すること。
この期間は担当者の残業が増え、上記のような「紙文化」と「ハンコ文化」が忙しさに拍車をかけます。
営業担当者も領収書の処理と精算帳票の作成で直帰ができず、業務効率の低下が問題となります。
このような非効率な状況の原因は、会社に帰らなければ精算できない、限られた場所でしか処理できない旧態依然の業務プロセスです。
●電子帳簿保存法改正
経費精算のプロセス改善に大きく影響しているのが、この法律の改正です。
電子帳簿保存法の正式名称は「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律」といい、紙の国税関係書類を電子データで保存することを認める改正が行われました。
電子帳簿保存法を導入し運用するためにはいくつかの条件がありますが、これによりさまざまな経費精算書類の電子化が可能になり、バックオフィスのペーパーレス化をいっそう進められるようになります。
●2025年の崖への対応
経済産業省は2018年に『DXレポート~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~』(デジタルトランスフォーメーションに向けた研究会)を発表しました。これは2025年までに業務のデジタル化や企業のDX化が進まなかった場合、労働力不足やIT人材の不足と相まって、日本の経済界では最大で年間12兆円の経済損失が生じるという予測レポートです。
レポートの中ではこの大きな損失を2025年の崖と呼んでいるのですが、現実がこの通りにならなくとも、企業のDX化の遅れがその業績に大きな影響を与えることは間違いありません。
労働力が不足していくのは間違いのない事実で、業務の効率化にはアナログ作業のデジタル化が必須だからです。
経費精算システムの一番重要な機能は、経費精算のアナログ作業をデジタル化できるところです。
業務効率化のネックは、作業の途中に非効率なボトルネック部分があること。バックオフィスが今までDX化を思うように進められなかったのは、「紙文化」や「ハンコ文化」といったアナログ作業をデジタル化できなかったことです。経費精算システムは以下のような機能で、バックオフィスのDX化に寄与します。
●経費申請・精算
今まではPCで作成後にプリントアウトし、ハンコを押していた経費申請と精算が、電子上で完結できるようになります。申請書類のペーパーレス化は単なる紙の節約だけでなく、プリントアウトや帳票類の整理・保管などの手間も削減します。
●出張精算・交通費精算
出張や外出後に帰社しないと処理できなかった、出張費の精算や交通費精算が外出先でできるようになります。このため遠方から帰社する無駄な時間を省け、残業代などの削減になります。※外出先からインターネットに接続できる環境が必要
●証憑書類の管理(電子帳簿保存法対応)
電子帳簿保存法の改正で、領収書など、紙の国税関係書類を電子データで保存できるようになりました。これにより領収書紛失などのリスクが減り、今までのように精算帳票に添付して領収書を提出する必要もなくなりました。ただしイメージデータの管理は厳格に行う必要があるため、ほとんどの経費精算システムには証憑書類の管理機能が実装されています。
●承認(ワークフロー)機能
今まで経費や出張費の承認は直接上長にハンコをもらっていたかもしれません。しかし、ほとんどの経費精算システムには承認機能が実装されています。この機能もモバイル対応となっていることが多いので、申請する側も承認する側も外出先で簡単に申請や承認が行えます。
●会計ソフトとのデータ連係
他のソフトと連携をするためのAPI(他のソフトにデータ連係するためのインターフェース)を備えていたり、主な会計ソフトとははじめからデータ連係できるように設計されています。
●モバイル対応
パソコンはもちろん、スマートホンでも使えるように設計されている経費精算システムが多いので、インターネットにさえ接続できればどこにいても経費申請や精算が可能です。この機能により、バックオフィスのテレワーク対応も可能になります。
●クレジットカード対応
法人カードや、最近では法人向けのプリペイドカードなどもあるので、これらの利用明細とのデータ連係ができるようになっています。紙の明細などからの書き写しが必要ないため、交際費や出張費の精算にはとても便利な機能です。
●データ分析
さまざまな経費がどの程度使われていて、使い過ぎはどの経費なのかなどを分析できる機能をもつ経費精算システムもあります。経営陣へのレポートや月次決算時に、集計する手間のかからないことが魅力です。
上記のように多くの機能があり、それがメリットとなっている経費精算システムです。ここでメリットを整理するとともに、デメリットも確認しておきましょう。
●メリット
・経費申請や精算を効率化できる
申請する人も承認する人も、それを処理するバックオフィスのメンバーも業務を効率化できることが、経費精算システムの一番のメリットでしょう。またクラウドのシステムを使えばオフィスという場所に縛られることなく、いつでもどこでもすべての申請や承認、処理を行えることも大きなメリットです。
・書類の紛失を防止
領収書の紛失などという物理的な証憑書類の紛失はもちろん、申請書類が今どの段階で止まっているかわからない、という問題も防止できます。月末の〆切り近くでバタバタする、ということも防いでくれるのです。
・書類の持ち回りをする必要がない
決められたワークフローで承認行為が進むため、書類を持ち回る必要がありません。導入前のように、上長の出張や外出で承認作業が進まないということもありません。
・記入不備の確認や差し戻しの必要がない
ほとんどの経費精算システムには、必須事項の記入不備を警告する機能が付いています。従来のように経理担当者がチェックして記入不備を見つけ、本人に差し戻すというようなことは削減できます。
・集計や保管を効率化できる
帳票や証憑類はデータ化されているので、数値の集計や保管を効率的に行えます。従来のように、紙で専用ファイルに綴じておく必要はありません。また必要に応じて、過去データの検索も素早く行えます。
●デメリット
・ITに慣れていない社員へのケアが必要
会社内の人すべてが、ITのシステムに慣れている訳ではありません。経費精算は多くの人が行う作業なので、ITに慣れていない人でも使えるように教育や導入後のケアが必要です。
導入後しばらくはサポート専用の担当を決めておくなど、システムの周知徹底に努めましょう。
・機能を絞らないとコスト高になる
自社にとって本当に必要な機能を絞って導入を進めないと、コストが高くなる可能性があります。多くの経費精算システムはSaaS(機能を分けたクラウド型のソフトウェア)として提供されており、必要な機能を選んで導入できるようになっています。導入時には、システムを使う各部門と必要な機能について検討を行っておきましょう。
長年運用してきた自社の経費精算プロセスには、気がつかないうちに独自のルールなどが発生しているものです。経費精算システムは使いたい機能を選んで導入できます。しかし、機能をカスタマイズする部分が多くなればそれだけコストが上がってしまいます。自社独特の経費精算ルールが多いようであれば、導入を契機としてあらためてしまうか、一般的な経費精算のプロセスに自社のプロセスを合わせ込むことが必要です。
このような検討を導入前に繰り返すことにより、気がつかなかったプロセスの無駄が明らかになり、経費精算システム導入の効果と相まって効率の向上が期待できます。新しく経費精算システムの導入を検討しているのであれば、各部署の担当を集めたプロジェクトチームを立ち上げ入念な事前検討を行いましょう。
慣れ親しんだプロセスに新しいシステムを導入するには、思った以上に時間がかかります。効率化を急ぐあまり、無理にシステムを押しつけてしまうことは逆効果にもなりかねません。ITに慣れていない社員へのケアや、あとからカスタマイズする部分が出てくることも考慮し、経費精算システムの立ち上げには余裕を持ったスケジュールを組んでおきましょう。
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