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今年(2021年)11月、家電メーカーの「バルミューダ」は、社外取締役を務めるメガネ大手「ジンズホールディングス」の田中仁社長がインサイダー取引を行った可能性があるため、処分したと発表しました。
インサイダー取引はどの企業にも起こりうることです。本記事では、過去に起きたインサイダー取引関連で特に話題になった事件をまとめてご紹介します。
国内で起きたインサイダー取引のなかでも特に有名なのが「村上ファンド事件」でしょう。2006年当時、村上ファンドの村上世彰氏はニッポン放送の株を大量に保有していました。堀江貴文氏が率いるライブドアがニッポン放送株を大量に購入するという決定を知ったうえで、ニッポン放送の株が高騰すると同時に株を売却。この事件で村上氏は起訴され、懲役2年 執行猶予3年、罰金300万円、さらに約11億4,900万円の莫大な追徴金を科せられました。
2007年、NHKの報道局記者ら3人がニュースの特ダネ情報を放送前に閲覧し、対象企業の株式を売買しました。3人は報道情報システムにアクセスし、牛丼チェーンなどの「ゼンショー」が回転寿司の「カッパ・クリエイト」と資本業務提携して同社をグループ化することをニュース放送前にキャッチ。カッパ・クリエイト株を購入しました。
この事件で、当時の橋本元一会長は「報道機関として根幹にかかわる問題で大変申し訳ない」と謝罪。橋本会長と永井多恵子副会長が2008年1月24日の任期満了日当日に引責辞任したほか、コンプライアンス担当と報道担当の理事2人も1月22日付で引責辞任しました。
2009年に経済産業省幹部が、国内の半導体会社絡みでインサイダー取引をした事件です。当時の経済産業省商務情報政策局審議官が、日本の半導体会社の合併計画や再建策の公表前に入手した情報をもとに、妻の証券口座を利用して株を購入。値上がり後に市場で売り抜けて、約230万円の利益を得ました。
本事件でこの元幹部は、懲役1年6月 執行猶予3年、罰金100万円、追徴金約1,000万円の有罪判決を言い渡されています。
ドンキホーテホールディングス(現パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス)の前社長・大原孝治被告は、今年4月に懲役2年 執行猶予4年の判決を言い渡されました。大原被告の罪状は“取引推奨行為”。流通大手ユニー・ファミリーマートホールディングス(現ファミリーマート)によるドンキ株TOB(株式公開買い付け)実施をめぐり、公表前の2018年9月、知人に利益を得させるために自社株の購入を勧めました。本件では被告自身は経済的な利益を得ていませんが、取引推奨行為は違法にあたります。大原被告は当時社長でしたが、翌2019年にグループ内の全役職から退きました。
最後はちょっと変わった事件を。
他社との業務提携情報をもとにインサイダー取引を行ったとされた画像処理関連会社「モルフォ」の取締役が、金融庁の課徴金納付命令を不服として起こした訴訟の判決が今年1月に東京地裁で行われ、訴えが認められて、課徴金納付命令が取り消されました。
本件は、2015年にモルフォが自動車部品メーカー「デンソー」と業務提携するとの非公表情報をもとに、モルフォの取締役が自社株を購入するインサイダー取引を行ったと、金融庁が判断。2018年に133万円の課徴金納付が命じられていました。しかし訴訟では、株を購入した時点では業務提携が決まっていた事実は認められないと裁判長が指摘。「インサイダー取引にあたらない」と判断されました。
以上が、話題となった国内のインサイダー取引関連の事件です。
インサイダー取引事件は上記のほかにも数多く起きていますが、なかには違法になることを知らずに取引や情報提供などをしてしまった事例もあります。他人事ではなく、私たち自身も言動に気を付けることが大切です。
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