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学生が就職を希望する業種や企業は時代とともに移り変わるもので、そこには企業の成長と衰退が色濃く反映されているものです。“有為転変は世の習い”という言葉が頭に思い浮かんできますが、この10年間で学生が志望する人気企業はどのような変遷をたどっているのでしょうか。
10年前といえば、世界的金融危機やリーマン・ショックの影響で景気が後退し採用を控える企業が相次ぐなど、学生にとって厳しい就職戦線だったことは記憶に新しいのではないでしょうか。
そのリーマン・ショックから10年後となる2021年は、新型コロナウイルスの感染が拡大し、採用中止や採用人員を大幅に削減する企業もあるなど、就職氷河期の再来になるのではないかという懸念もありました。
しかし、学生に人気のあった航空会社や旅行関連業など、コロナの大打撃を被った業界以外の採用意欲は衰えず、2021年8月の有効求人倍率は1.14倍でした。数十社の面接を受けても内定をもらえないといった苦しい状況とはならなかったようです。
ただ、大学通信が算出している「企業入社難易度」によると、リーマン・ショック後の2011年と2021年の人気企業の顔ぶれには変化がみられ、入社するハードルが高くなった企業もあるようです。
2011年と2021年の比較で、入社が難しくなった企業の上位10社をみてみましょう。1位は入社難易度が6.4ポイント上昇と最も上がった住友不動産で、2位には3.9ポイント上昇の帝国ホテルがつけています。
【2011年と比べ入社が難しくなった企業 上位10社】 | |
---|---|
1位 | 住友不動産 |
2位 | 帝国ホテル |
3位 | P&Gジャパン |
4位 | AIG損害保険 |
5位 | 日本水産 |
6位 | 森永製菓 |
7位 | コナミデジタルエンタテインメント |
8位 | 三井住友銀行 |
9位 | サッポロビール |
10位 | ジェーシービー |
業種別では、食品、水産、医薬品の入社難易度が上昇しています。また、メガバンクでベスト10入りしたのは2.5ポイント上昇の三井住友銀行だけで、採用数が10年前の半分以下となった三菱UFJ銀行(0.8ポイント増)やみずほFG(1.6ポイント増)は、今回の入社難易度の算出基準には含まれていません。
成長が著しく給与・待遇面でも恵まれている企業は学生に人気が高い傾向にありますが、時代の移り変わりとともに人気の業界や企業も変化していくことが、このランキングからも読み取れます。
たとえばバブル期には、金融関連業界や海外で働くことできる商社が花形企業でした。また、SONYや日本電気など、いわゆる“ものづくり日本”を象徴する電機メーカーもランクインしていました。
テレビ局や新聞・雑誌などのマスコミ関連、さらに広告代理店の電通も学生の人気が高く、強力なコネでもなければなかなか入社することが難しかったものです。
まさに“有為転変は世の習い”、あるいは“盛者必衰”“驕る平家は久しからず”を、しみじみと痛感させられるランキングといえそうです。
時代とともに産業構造も経済環境も変わるものですが、この10年間を振り返ると、やはりデジタル化の大きな波が企業の盛衰に大きく影響しているようです。この「入社が難しくなった企業ランキング」の10年後、20年後はどのようになっているのでしょうか。
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