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Q:最近の若者のファッションなのか、黒髪のボブ?(顎くらいの髪の長さ)で真赤な口紅を塗っている社員がいます。
社内規定では過度な茶髪・金髪等の染色を禁ずるとなっているので、違反していません。強いて言うなら、「清潔感のある格好」をするようにと明文化していますが、彼女はモード系?セクシー系?(セクハラになってしまうかもしれませんね…)と、化粧が濃すぎるのがアウトなのではと思いますが、注意できません。
社内の風紀のためにも派手な化粧、個性的な髪形を禁止したいのですが、表現の自由に関わる問題かと思い悩んでいます。もう少しモラルをもってほしいだけなのですが…。
A:結論として、ご相談の例では、髪型や口紅の色は労働者の自由の範囲内であると考えられます。
まず黒髪のボブは個性的とまでは認められないと思われるので、論点を口紅に絞ります。
女性社員が真赤な口紅を塗ることは、原則として、個人の自由です。
使用者が労働者の自由を規制することはできるのかというと、その根拠は労働契約に求められます。労働契約に基づく労務提供義務から、労働者は控えめな色の口紅を塗る義務を負い、労務提供受領権から、使用者は労働者に真っ赤な口紅を塗ることを禁止する権利を有し、その旨の業務命令を発令することができるのです。
使用者の権能が労働契約に基づく以上、労働者の自由を制約し、労働者が控えめな色の口紅を塗る義務は、労務提供義務に関連する合理的な範囲内に限られてきます。
裁判例では、ハイヤー運転手が口ひげを生やしたところ、口ひげを剃らないことを理由に乗車を拒否された事案があります。労働契約上、ハイヤー運転手が清潔な身だしなみを要求されることは職務の性質から当然ともいえますが、口ひげが一般的に不潔であるとは認められないので、東京地裁判決は、使用者が規制できる範囲を、「無精ひげ」、「異様、奇異なひげ」に限定しました。
この裁判例からすると、貴社の就業規則の規定があるといっても、口紅に関していえば、同僚や顧客に不快感を与える異様・奇異な色に限定されていると解釈されます。
会社の業種や社員の職種によっては、社員に労働契約上清潔な身だしなみを要求されるので、身だしなみについて就業規則に規定を設けているのであれば、この規定に基づき、会社が控えめな色の口紅を塗るよう指導することはできるのですが、それを超えて、真赤な口紅を塗ることを禁止するとの業務命令を発令したり、執拗な指導を繰り返したりすることはできません。真っ赤な口紅が異様・奇異な色とまでは認められないからです。
真赤な口紅を塗ることはおしゃれの一環であると思われますので、会社が強い指導をすることは、当該女性社員だけでなく、他の社員の労働意欲も低下させることにもなりかねません。
会社としては、当該女性社員に十分な説明をし、同僚や顧客に不快感を与えない程度の控えめな色の口紅を塗るよう協議することも考えられますが、長い目で見守ることも重要と思われます。
佐久間大輔(弁護士)先生の回答
注意や指導する場合の言葉遣いに注意が必要
女性社員の派手過ぎる服装や化粧については、多くの管理部門が、どのように指導や注意をすべきかで悩んでいるケースが多いようです。
また、誰が指導、注意するかも問題です。男性上司が行う場合は、言葉遣いによってはセクハラと受け取られてしまうこともあります。もちろん、すべてがセクハラとなるわけではありません。職種や業務内容に照らし、必要かつ合理的な指導であるなら、セクハラとはなりません。
男女雇用機会均等法11条によると、「職場において行われる性的な言動に対するその雇用する労働者の対応により、当該労働者がその労働条件につき不利益を受け、又は当該性的な言動により当該労働者の就業環境が害されること」を、セクハラと定義しています。
また、当該女性社員の髪型や口紅を、頭ごなしに否定してしまうような指導は、おすすめできません。角が立ってしまい、後々までしこりが残ってしまうからです。
女性上司や先輩の注意・指導が効果的
本来、髪形や化粧など身だしなみは、私的領域に属する問題です。ただし、職種や業務内容によっては、労働契約において規律を定めることができます。それが社会通念上、合理的なものなら、社員はその規律に従うことになっています。
しかし、規律に事細かく、たとえば口紅の色まで規定しているところは、それほど多くはないでしょう。まずは、女性の上司や先輩が、注意や指導していくことが、最適な方法ではないでしょうか。
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