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出張費や交通費、接待交際費など、とりあえず立て替えた経費を後から精算することも多いのではないでしょうか。ところがその際、認められない費用が含まれていることがあります。それが意図的な場合は“経費の不正請求”となりますが、皆さんは正しく経費精算をしているでしょうか。
経費精算クラウドサービスを提供するコンカーが、日本CFO協会と共同で実施した「経費精算における不正リスクの実態調査」によると、「不正を見つけたことがある」の回答は67%で、7割近くにものぼっています。
不正が発覚した項目で最も多いのは「出張費」の33%で、「接待交際費」24%が続いています。金額は「1,000円未満」が24%ですが、1万円~5万円以上が59%と、高額不正が半数以上の結果となっています。
ところで、経費を精算するのは経理部門ですが、申請の中に認められない不正なものが紛れ込んでいるかどうかを調べるのは、どの部署が担当すべきなのでしょうか。
調査では7割の人が「経理担当者」と答えていますが、「不正を発見すべきはまず各担当部門だと思う」と回答した人が93%もいることが明らかになりました。経理担当者からすれば、「まずはそれぞれの担当部門でしっかりチェックしてほしい」ということのようです。
経理であれ、各担当部門であれ、経費精算のチェックは適正に行わなければなりませんが、約8割(79%)の人がその作業に対して「負担になっている」と感じていることも明らかになりました。
中でも負担を感じているのが「日付や内容などの整合性」(42%)、「接待交際費や物品購入費などの妥当性」(32%)などです。領収書と付け合わせながら、金額以外の内容を細かく確認するという作業内容が、大きな負荷がかかる原因のようです。
また、軽減税率やキャッシュレス還元の影響もあり、確認作業の負担はさらに重くなっています。チェックする側だけでなく、申請する側にも負担がかかり、とくに出張や接待の多い営業担当者などは、期日までに経費精算をしなければ立て替えた費用が入ってきませんから切実です。
見落としやすい不正や実際に見つけた不正としては、「接待交際費」と「出張費」がどちらも上位に挙がっています。「接待交際費」は経理上の正式名称ではなく、法人税法上の「交際費等」に該当するもので、「交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するもの」をいいます。
この、交際費等に配当するかどうかで迷うのが、交際費等の中の「接待飲食費」で、これは「飲食その他これに類する行為のために要する費用」のことです。よく、社内の飲み会の領収書を「接待飲食費」で精算しようとする人もいますが、「社内飲食費を除く」と定められていますので注意しましょう。
また、「出張費」は、出張にかかる交通費やホテルなどの宿泊代、食事代などの費用で、勘定科目の「旅費交通費」で処理します。「交通費」は、自宅から会社までの通勤費、仕事での移動にかかる電車やタクシーなどの経費で、その違いも認識しておきましょう。
つまり、一口に経費精算といっても、担当者の目視によるチェックだけでは限界があるのです。89%の担当者が「目視チェックだけで不正を見つけるのは難しい」、86%が「AIでチェックを実施した場合業務が楽になると思う」と回答していることから、AI活用による不正検知への期待感を抱いていることがわかります。
経費の精算は、申請する側にとってもチェックする側にとっても、処理するだけで大変です。領収書などの原本と申請内容を最低でも7年間保管しておかなければならないなど、管理面の負担もあります。しかし、電子帳簿保存法の改正によって、スマホで撮影した請求書や領収書の画像データでの保存も認められることになりましたので、経費精算にもデジタル化を検討すべき時期にきているのかもしれません。
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