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納税は国民の義務ですが、一般の人には消費税以外の税金がいつ支払われているのかわからないことがあります。
特に企業に勤めている人の場合、税金の納付は会社が代行してくれているので、いつどのような納税をしているのかを知らない人もいるようです。
住民税もその一つで、企業の管理部門になって初めてその存在を知る人も少なくありません。
今回は、そんな住民税について企業の管理部門が知っておきたい基本知識を解説します。
会社などの法人が納める「法人住民税」もありますが、こちらの記事では住民が納める「個人住民税」に限定して解説します。
住民税と一括りにされていますが、正確には都道府県と市区町村のそれぞれに納める税金をひとまとめにしたものをいいます。例えば、東京都千代田区に住んでいる方の場合は、東京都と千代田区にそれぞれ「住民税」として納めることになります。
また住民税は、所得割と均等割に分けられます。
所得割とは、前年度の所得に応じて課税されるもので、所得が高い人ほど納める税金は高くなります。逆に所得が一定額以下の人は、所得割が非課税になります。
所得割の税率は自治体ごとに設定されますが、ほぼすべての自治体で標準税率が採用されており、市町村民税が6%、都道府県民税が4%です。
ただし、指定都市の場合は、市町村民税8%、都道府県民税2%に設定されています。
一方の均等割は、所得額とは関係なく、すべての住民が最低限納めなければならないものです。
均等割の標準額は、市町村3,500円、都道府県1,500円です。
住民税は、所得割と均等割を合わせたものを指します。
住民税は、住民一人ひとりが納税しなければならないものですが、企業に勤めている従業員の住民税は、勤務先である企業が代わりに納めなければなりません。
企業は従業員に給与を支払う際、国民健康保険や所得税、住民税などを天引きしています。これが「額面」と「手取り」と表現されているものです。これら税金を事前に差し引いた金額が、従業員に給与として支払われています。
企業は天引きしておいた税金を預かり金として手元に置き、後でまとめて国や自治体などに納めます。
これは特別徴収といい、従業員を雇う企業に義務づけられているものです。
ちなみに、会社に勤めていない個人事業主や年金生活者などは普通徴収といい、個人で住民税を納めます。
住民税は、従業員の前年の所得に応じて計算され、一定額で毎月徴収されるものです。
企業が従業員に代わって納付するものではありますが、源泉徴収のように毎月金額を計算する必要はありません。
それでは、企業が住民税を納付する流れを見ていきましょう。
企業の特別徴収は一連の流れで複雑なところはなく、慣れてしまえば難しいことはありません。ただし、次のようなケースでは通常の特別徴収とは異なる手続きが発生するため注意が必要です。
中途採用などで過去に所得があった従業員の場合は、普通徴収だった従業員であれば特別徴収切替届出(依頼)書を、特別徴収だった従業員であれば、前職からの異動届出書を市町村に提出します。
新卒入社した従業員の場合は、前年に所得がないため、1年目の特別徴収もなく手続きは不要です。新卒入社した従業員は2年目から特別徴収を行います。
従業員が別の市町村に住民票を移した場合、次の5月までは、引き続きすでに届いている特別徴収税額決定通知書に基づいて住民税の納付を続けます。
その年の給与支払報告書の提出を翌年1月に新しい市町村に変更することで、住民税を納める自治体も移ることになります。
従業員が退職した場合、企業では給与の支払いがなくなるので特別徴収ができなくなります。
未納分の納付方法は、退職する時期によって異なります。
一定額以上の所得があった場合、亡くなった従業員の納税義務は残り、相続人が納付することになります。
上述の注意点は標準的な手続き内容です。個別の事情で手続き内容が異なることもあるため、詳しくは近くの市町村税務担当課に問い合わせてください。
従業員の住民税を納付する特別徴収は、慣れてしまえば簡単ですが、市町村との書類のやりとりで手間のかかる作業もあります。
とはいえ、特別徴収は企業の義務でもあるため、適切に行わなければなりません。特別徴収は給与ソフトや人事管理ソフトなどで負担を軽減することもできます。わからないことがあったら、近くの市町村税務担当課か、税理士に相談して対応しましょう。
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