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稟議とは?なぜ必要?
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稟議とは?なぜ必要?

公開日2021/05/07 更新日2021/05/08


日本型企業経営の典型であり、海外のビジネスパーソンにとっては不思議の国日本の象徴でもある制度が稟議というシステムです。日本以外の、特に欧米諸国では、稟議と似たような制度はみられないようです。

稟議は、現代ビジネスの視点からすると遅れた制度なのかと言えば、実はそんなことはありません。稟議とは企業を1つの組織として円滑に動かすための、すぐれたシステムでもあるのです。

稟議とは日本の社会制度そのもの

農業社会を2000年以上にわたって続けてきた日本では、物ごとを解決する場合直接的な議論を避け、可能な限り全員の意見の総和という形をとります。「和をもって貴しとなす」という聖徳太子以来の思想が、脈々と受け継がれているのです。

農業社会では、近隣住民が1つの共同体として意思決定を行わなければなりません。一同の総和に反対すると、農業を営むことはできません。日本の企業内でも、こうした和の思想は色濃く残っており、意思決定する時には責任者の総和が必要です。稟議とは、その典型的なシステムだと言えるでしょう。

稟議制度の仕組みとは

稟議が必要になるのは、社員個人では決定できないレベルにおいて、企業内の上層部から承認を得る場合です。稟議書を回覧して、関係する業務の責任者から順次承認を得ることで1つの稟議が完了します。

ただし稟議制度には、もう1つ裏の面があります。多くの場合、稟議書を回覧する前に、提案書などを見せておき、いわゆる「根回し」を済ませていることが多いのです。このいかにも日本的な意思決定方法には賛否両論あるものの、現代のビジネスシーンでも1つのシステムとして日常的に機能しています。

稟議書の使い方

稟議書の書式は企業ごとに異なりますが、稟議の件名などの基本的情報に加えて、いったい何が承認されるのかを明確にする必要があります。そのため具体的には、稟議の目的と理由の他、承認してほしい内容についても詳細に述べておくことが重要です。

1つのプロジェクトをスムーズに進めるためには、稟議を効率化して承認完了までの時間を短縮しなければなりません。そこで説得力のある稟議書を作成することが重要になりますが、同時に事前の根回しを上手に行うこともポイントになるでしょう。

稟議制度のメリット

一見業務の効率化に逆行するように思える稟議制度には、責任者による直接的な会議を省くことができるというメリットがあります。比較的大きな案件でも、事前の準備を滞りなく済ませてから稟議書を回覧すれば、承認~決裁までにかかる時間を大幅に短縮できます。

また、書類により形として残せるため、承認した内容や責任者などが、決裁完了以降でも速やかに確認できるというメリットもあります。特に日本の官公庁や企業は形式へのこだわりが強いので、文書にして残しておける点は重要なことなのです。

稟議制度のデメリット

一方で稟議制度のデメリットは、メリットと表裏一体の関係にあります。承認作業が順調に進めばよいのですが、途中で承認が遅れると停滞してしまったり、責任者が多い場合は承認完了までに多大な時間を費やしてしまいます。

さらに承認者が複数いる場合、決裁後に問題が生じた際に、責任の所在が特定できない状況に陥る可能性があります。つまり、稟議に関わる各々が効率化を意識しないと、稟議制度のメリットはデメリットに変わってしまうということです。

稟議を効率化するワークフローシステム

では将来的に考えた場合、今のままの稟議制度は今後も継続するのでしょうか。その答えは、ある意味でイエスだと考えられます。ただし、海外型のビジネスが日本企業にも浸透しつつある状況からすると、稟議制度にも何らかの変革が必要になるでしょう。

稟議をより効率化して、さらに他の業務との連携を強化する方法としては、ワークフローシステムを導入することが挙げられます。このシステムは今まで人の手で行っていた稟議の一切を、パソコン上で可能にしたもので、稟議書の回覧から承認までの流れを一元的に管理することができます。しかも業務のペーパーレス化にも大いに貢献します。

ワークフローシステムでは、稟議書以外の文書やデータも管理できる上、スマートフォンやタブレットなど外部との連携も可能です。現在多くのメーカーがワークフローシステムを提供しているので、1度導入を検討してみることをおすすめします。

まとめ

日本独自のビジネス習慣である稟議制度は、必要以上に時間や手間がかかるイメージがありますが、事前準備などにより効率的な業務が可能になるすぐれたシステムだったのです。

現在は、パソコンやスマートフォンで管理できる新しい稟議の方法として、ワークフローシステムを使うことも可能です。稟議と言えば日本の古い伝統と否定的にとらえずに、ぜひ業務効率を改善するシステムとして活用してみましょう。

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