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近年、ビジネスの場で注目を集めつつある「クラウドERP」をご存じでしょうか?企業ITにおける新たなインフラのあり方として、多くの企業で導入が進められています。今回はクラウドERPとは何か、従来のERPとは何が違うのか、という点について詳しく解説しましょう。
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ERP(Enterprise Resources Planning)とは日本語訳では企業資源計画や基幹業務システム、企業資源計画などと呼ばれ、企業内の各種業務管理を統合化し、部門横断的なデータ処理を行えるようにするシステムのことを指します。
企業が経営活動を行うには、事業分野にもよりますが生産部門や販売部門、会計部門、人事部門、物流部門などの部署が必要です。各部門は企業の売上・利益向上という目的こそ共有しているものの、かつてはそれぞれの部門が独自のシステムを構築し、部門ごとにデータを処理するのが一般的でした。例えば、人事部門と会計部門が横断的なシステムを持つということはなかったわけです。
しかし実際のところ、部門ごとにシステムが構築されているという状態は不便な点が多いのも事実でした。部門ごとの個別システムだと、仮に人事部門に給与情報を管理する情報システムが導入されていても、会計部門でその情報を扱う場合、あらためてデータを入力し直す必要が生じます。同様に、販売部門のシステムで管理している注文情報を生産管理部門のシステムに移行する場合も、手作業であらためて入力する作業が必要です。
こうした「入力し直し」のような作業・手間を省くために開発・導入が進められたのがERPです。ERPによって一元的なシステムが実現され、各部門のデータが効率よく運用されれば、経営資源の合理的な運用、経営陣の意思決定の迅速化にもつながります。
クラウドとはIT分野ではインターネット上で提供される多様なサービスを意味し、クラウドERPとは、そのようなクラウド環境において使用できるようにしたERPのことです。
現状、クラウドERPにはプライベート型、パブリック型、ハイブリット型の3種類があります。プライベート型とは、自社内で構築しているERPをクラウド化するというもので、自社に特化した企業インフラとして使用しやすい点が特徴です。
一方、パブリック型はベンダー側が提供しているサービスを利用する形でERPを導入するというもので、システムの所有者はあくまでサービス提供者となっています。毎月定額の料金制もしくは従量課金制により、いわばERPをレンタルするわけです。
3つ目のハイブリット型は、プライベート型とパブリック型を組み合わせながら利用するというタイプを指します。例えば、機密情報についてはプライベート型で利用し、業務上の一般情報についてはパブリック型で利用する、という利用法がその典型例です。
従来型のERPはオンプレミス(プレミスとは建物や構内という意味)とも呼ばれ、自社内にあるサーバー・通信回線、およびそれに関連する各種サービスなどを用意し、運用するのが基本です。しかし、自社内に物理サーバーを独自に準備する必要があるため、どうしても高額な初期投資が必要になってきます。また、定期的なサーバーのメンテナンスやアップデートへの対応もすべて自社負担で行う必要があり、システムの運用費も高くなるのが一般的です。
一方、クラウドERPの場合、自社でサーバー調達やネットワーク構築をする必要がありません。物理的な作業を伴わないため、導入期間も短く、初期投資の費用が安く済みます。システムの運用をベンダー側に任せることができ、費用も安くなることが多いです。費用を抑えやすいという点は、特に経営資源が限られている中小企業やベンチャー企業にとって大きな利点と言えます。
クラウドERPにはデメリットもあります。一つは、インターネット環境がない限り、運用を行えないということです。日本は台風、地震など災害の多い国であり、もし通信が不可となる事態が起こった場合の対策を考えておく必要があります。しかし、クラウドERP自体の復旧能力はサービス提供側に依存する部分が大きいため、最初のベンダー選択を適切に行うことが大切です。
また、特にパブリック型の場合にいえることですが、自社が望む形でのクラウドERPを選ぶことの難しさも難点の一つとして挙げられます。オンプレミスタイプの場合、自社の業務に最適化されたERPを用意することもできますが、クラウドERPはあくまでベンダー側が提供するシステムを利用するのが基本です。自社の要件に完全に合ったシステムを利用したいときは、従来型のERPが望ましい場合も考えられます。
ERPとは、企業内の業務部門ごとに個別に行われていたデータ処理を統合的に行うためのシステムのことであり、これをクラウド環境で行うサービスがクラウドERPです。クラウドERPには、初期投資が少ない、運用コストが低いなど、従来型のERPとは大きな違いがあります。一方で、クラウドERPにはネット環境がないと運用できない、システムの内容がベンダー任せ、という難点もあるため、実際に自社に導入するという場合は注意も必要です。
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