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2020年に発生した世間の耳目を集めた脱税事件
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2020年に発生した世間の耳目を集めた脱税事件

公開日2020/12/30 更新日2020/12/31


大手企業や有名芸能人などの巨額脱税事件が年に数回は発生し、その度に世間の注目を集めますが、2020年に発生して話題となった脱税事件には、どのようなものがあったのでしょうか。

税理士が消費税還付指南で得た多額の報酬隠し

士業界にとって衝撃だったのは、税の専門家である志賀公斗税理士（東京都府中市）が実質経営するSKコンサルティング（東京都渋谷区）と、志賀財務コンサルティング（東京都中央区）が、所得税と法人税計約２億1,200万円を脱税したとして、東京国税局が所得税法違反などの罪で東京地検に告発した事件です。

節税対策を指南するのは税理士の大切な役割ですが、告発されたコンサルティング会社は、投資家を対象に、不動産購入時に支払った消費税の還付を受けられるノウハウを提供して、多額の報酬を得ていたといいますから言語道断の事件です。

コンサルティング会社宛ての架空経費を計上して自身の所得を少なく装い、平成29年12月までの約３年間で、約８億2,700万円の所得隠しをしていた疑いがあります。告発を受け修正申告を行い、税理士登録抹消届出書も提出して「税理士を廃業した」そうですが、あるまじき行為といえるでしょう。

名古屋でもコンサルティング会社が脱税指南

下林勇太代表が経営する名古屋のコンサルティング会社「LSIホールディングス」（破産手続き中）も、名古屋国税局から法人税法違反と消費税法違反の疑いで名古屋地検に告発されています。

顧客数十社に、実態のない契約を結ぶ脱税の手口を指南して得た手数料などの所得約１億6,600万円を申告せずに、約5,900万円を脱税したとされています。

テレビやインターネットで話題を集めた青汁王子が脱税で逮捕

テレビやインターネットの番組に「青汁王子」として登場していた健康食品会社「メディアハーツ」（東京）の三崎優太社長が、約1億8,000万円を脱税したとして、法人税法違反などの疑いで東京地検特捜部に逮捕された事件も、世間の耳目を大いに集めました。

超高級マンションに居住し、高級外車や競走馬も複数所有するほか、高価なアクセサリーや時計を爆買いする様子や海外旅行で豪遊する姿をメディアが報じ、自らもSNSで発信していただけに、テレビのワイドショーでも多く取り上げられました。

ところで、脱税額は法人税約1億4,000万円と消費税約4,000万円の計1億8,000万円で、脱税事件としてはそれほど“巨額”ではありません。修正申告による追徴課税で済むケースも多いのですが、青汁王子は逮捕という事態になりました。

脱税額約5,900万円で東京地検特捜部に逮捕されたのは、女優・高岡早紀の兄で、ネット広告会社「エーゲート」の高岡賢太郎代表です。

エーゲットは、ネット掲示板サイト「爆サイ.com」などを実質的に運営し、同サイトの広告料が主な収入源でしたが、別会社に業務委託したように装って架空の経費を計上するという手口で、2年間に約2億4,000万円の所得を隠した疑いです。

申告漏れと修正申告

脱税が発覚しても、逮捕されるケースとされないケースがありますが、必ずしも脱税額によって決まるわけではなさそうです。

ところで、脱税の一歩手前となるケースもあります。よく目にするのが申告漏れを指摘され、修正申告をするケースですが、ソフトバンクグループも、東京国税局から約400億円の申告漏れが指摘されていたことが報じられました。

2019年3月期の税務申告で、日本の子会社からドル建てで借り入れた負債について、為替差損を過大に計上していたということですが、過去の損失などと相殺され、追徴課税はされなかったようです。

そういえば、いま話題の「鬼滅の刃」のアニメ制作会社「ユーフォーテーブル」（近藤光社長）も、東京国税局査察部から1億4,000万円の脱税容疑で東京地検に告発されました。「修正申告をして全額納税した」そうですが、申告漏れや修正申告ときくとどうしてもマイナスのイメージがついてしまいます。

まとめ

国税庁によると、６月までの１年間の税務調査で指摘した法人の申告漏れ所得総額は7,802億円（前年比43.5％減）、法人税の追徴税額は1,644億円（同15.4％減）、調査件数はいずれも統計を取り始めてから最も少なかったそうです。

ところが、高額な資産などを持つ富裕層に指摘した申告漏れは、総額789億円、追徴税額は259億円と、いずれも統計を取り始めた2009年以降で最多となったようです。資産を持つものと持たざる者の格差が、ますます広がりつつあるということでしょうか。

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