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多くのビジネスパーソンは、程度の差こそあれ、なんらかのストレスを抱えながら仕事をしているのではないでしょうか。
事業者には従業員を守るためにストレスチェックが義務付けられていますが、年末の繁忙期を迎える前に、あらためてストレスチェック制度について確認しておきましょう。
ストレスによる体調不調は、業務にも支障を及ぼすなど、いまや大きな社会問題の一つでもあります。そこで、労働者50人以上を抱える事業場には、従業員のメンタルヘルス不調を防止するために、すべての労働者に対して年1回のストレスチェックの実施が義務付けられています。
ストレスチェックとは、事業者が常時使用する労働者に対し行うストレスに関する検査で、労働安全衛生法第66条の10に基づき、2015年12月から特定の事業場(従業員50人以上)で実施を義務付けられているストレスに関する検査のことです。
ストレスチェックは、医師や保健師などが実施しますが、まず労働者が「自分のストレスがどのような状態にあるのか」について質問票で選択回答し、その質問票を集計・分析し、本人に結果を通知するとともに、労働基準監督署に報告しなければなりません。
ストレスチェックは義務付けられていますが、もし、実施しなかったとしても罰則はありません。しかし、ストレスチェックをしない場合であっても報告義務はあります。報告義務を怠った場合には、「50万円以下の罰金に処する」(労働安全衛生法第100条)とありますので、報告は忘れないようにしましょう。
では、ストレスチェックを義務付けられている事業所で、どのくらい実施しているのかを見ていきましょう。
厚生労働省によると、平成29年(2017)6月末で、所轄の労働基準監督署に実施報告書の提出があった事業場の割合は82.9%で、1,000人以上の従業員を抱える事業場の実施率は99.5%です。
業種別では金融・広告業(93.2%)、通信業(92.0%)、教育・研究業(86.2%)、製造業(86.0%)、保健・衛生業(83.7%)、建設業(81.1%)運輸交通業(80.9%)、商業(79.9%)、貨物取扱業(76.6%)となっています。
ちなみに、ストレスチェック実施報告を提出した事業場で、ストレスチェックを受けた労働者は78.0%ですから、ストレスチェックを実施している企業の割合が高い、ということがわかります。
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ところで、労働安全衛生法で年1回の実施が義務付けられていますが、いつ実施するかという期日の指定はありません。ストレスチェック制度導入マニュアル(厚生労働省)には、「12 月1日から翌年の11月30日までの間に実施しましょう」 とあります。
そのせいでしょうか、多くの企業が提出期限の11月30日までに間に合わせるように9月から10月にかけての秋に実施しているようです。また、健康診断と同じ時期にストレスチェックを実施する企業もあるようです。
しかし、10月といえば、人事異動の時期でもあります。異動直後は、新しい環境に適応するまで、相当なストレスがかかるものですから、できればこの時期は避けたほうが賢明ではないでしょうか。
また、決算時期となる年度末は、経理部門だけでなく、管理部門も多忙を極めることになります。そして、もっともプレッシャーがかかるのが営業部門ではないでしょうか。目標数字を達成していないビジネスパーソンにとっては、それこそ、ストレスに押しつぶされてしまいそうになることでしょう。
ですから、ストレスチェックは、年度末や異動時期となる4月や10月を避けて実施するほうが、よさそうです。
ピースマインド株式会社が、ストレスチェックの調査結果から、「労働者が抱えるストレスに伴う経済的損失は、男性で生涯平均約6,000万円」という試算を発表していますが、試算とはいえ、その経済的損失の大きさに驚かされます。企業が成長していくためにも、企業は社員のストレスを軽減するために取り組んでいくことが求められます。そのためにも、ストレスチェック大いに活用しましょう。
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