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人事・労務担当者が押さえておくべき会社で実施する健康診断のポイント
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人事・労務担当者が押さえておくべき会社で実施する健康診断のポイント

公開日2020/12/02 更新日2020/12/03


人事・労務担当者の業務の一つに、社員の定期健康診断の手配・実施があります。定期健診は、労働安全衛生法で実施が義務付けられ、社員の健康管理の基本ともいえる重要なものですので、人事・労務担当者は、定期健診について十分に理解しておく必要があります。

健康診断実施は会社の義務(労働安全衛生法第66条)

労働安全衛生法第66条に「企業は労働者に対し、医師による健康診断を実施しなければならない」と、企業側(事業者)に義務があると定めています。違反すると、企業側には50万円以下の罰金が科せられます。

定期健診は、会社での集団健診実施、会社指定の病院で実施、従業員が各自で健康診断を受診しその結果を提出させるなどの方法がありますが、それぞれの企業の従業員数や業種に応じた方法を選ぶことができます。

定期健診の費用は、企業側が全額負担しなければなりませんが、注意が必要なのは従業員各自が受診しその結果を提出させる方法を選択した場合です。なかには人間ドックなどの高額の健康診断を受診するケースもありますが、企業側が負担するのは定期健診費用に相当する部分のみです。

また、人事・労務に配属になったばかりの担当者は、定期健診の受診時間を労働時間として取り扱うべきかどうかも悩むところではないでしょうか。法律上、受診時間中の賃金支払い義務はありませんが、多くの会社では定期健診の受診時間も労働時間として取り扱っています。

「一般健康診断」と「特殊健康診断」

定期健診の概略を駆け足で見てきましたが、健康診断にも「一般健康診断」と「特殊健康診断」があります。「特殊健康診断」が義務付けられているのは、高気圧業務や放射線業務など、法定の有害業務に従事する労働者に対しての健康診断です。

【法廷有害業務】

高気圧業務、放射線業務、特定化学物質業務、石綿業務、鉛業務、四アルキル鉛業務、有機溶剤業務

「一般健康診断」は、職種に関係なく実施する健康診断で、すべての企業が対象となります。雇入時の健診や、1年以内ごとに1回実施する定期健診のほか、海外に6か月以上派遣する労働者を対象とした健診や、給食従業員の検便などが、一般健康診断です。

【一般健康診断】

雇入時の健康診断、定期健康診断、特定業務従事者の健康診断、海外派遣労働者の健康診断、給食従業員の検便

対象は「常時雇用する労働者」

雇入時の健康診断の対象となるのは、「常時使用する労働者」です。「常時使用する労働者」とは、「1年以上使用する予定で、週の労働時間が正社員の4分の3以上」である労働者です。

つまり、正社員に限らず「常時雇用する労働者」の条件を満たしていれば、パートやアルバイト従業員も健康診断の対象者となる場合があります。

また、条件を満たしていなくても、週の労働時間が正社員の2分の1以上のときは、実施する努力義務があること、派遣労働者については、労働者の派遣元が実施することも、しっかりと覚えておきましょう。

健康診断の検査項目

健康診断の検査項目ですが、雇入時の健康診断と定期健診の検査項目は、下記の11項目ですが、一部違うのは「4. 胸部エックス線検査」で、定期健診では「胸部エックス線検査および喀痰検査」となります。

【雇入れ時の健康診断/定期健診の検査項目】

1. 既往歴及び業務歴の調査

2. 自覚症状及び他覚症状の有無の検査

3. 身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査

4. 胸部エックス線検査(※定期健診では胸部エックス線検査か喀痰検査)

5. 血圧の測定

6. 貧血検査(血色素量及び赤血球数)

7. 肝機能検査(GOT、CPT、r-GTP)

8. 血中脂質検査(LDLコレステロール、HDLコレステロール、血清トリグリセライド)

9. 血糖検査

10.尿検査(尿中の糖及び蛋白の有無の検査)

11.心電図検査

まとめ

労働安全衛生法で、企業には健康診断の実施義務が定められていますが、社員の受診義務違反に対する罰則は設けられていません。しかし、健康診断の受診を職務上の命令として命じることができ、受診を拒否する社員に対しては懲戒処分にすることもできます。

ですから、健康診断に対する社員の理解を深めるためにも、人事・労務担当者は、健康診断の重要性を認識しておく必要があります。

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