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2021年から高速道路で大型トラックが数台連なって隊列走行する「カルガモ走行」が実用化されますが、トラック輸送のスタイルも高速道路の風景も大きく変わることになりそうです。
目次【本記事の内容】
隊列走行とは、大型トラックが電子的に連結しながら走行するもので、カルガモの親子が移動する姿になぞらえ、「カルガモ走行」(海外ではプラトゥーニング)と呼ばれています。
「カルガモ走行」の実証実験は、2019年6月25日から2020年2月28日までの期間、新東名高速道路の静岡県内・浜松いなさICと長泉沼津ICの間で、2台から3台の大型トラックを使って行われました。
時速70kmから80kmでの、車間距離を高速道路ではかなり接近した状態の約10mから約20mに保った状態で行った実証実験は、見事に成功しました。
日本自動車工業会は、この実証実験の成功を受けて、いすゞ自動車、日野自動車、三菱ふそうトラック・バス、UDトラックの4社が、2021年からの隊列走行の実用化に向けたトラックの商品化に踏み切ると発表しています。
隊列走行のトラックには、すでに乗用車で商品化されている、車間距離維持を保つアクティブ・クルーズ・コントロール(ACC)と、車線維持を支援するレーン・キーピング・アシスト(LKA)という、2つの技術を活用するものです。
アクティブ・クルーズ・コントロールは、カメラやミリ波レーダーによって車間距離を保っての走行を可能する技術ですが、そこにトラック間の通信が加わることで、車間距離をより正確に保つことができるようになります。
トラック同士の通信が運転を制御することができるようになれば、近い将来、自動運転により無人化も可能になると期待されていますが、とりがあえず2021年の商品化による「カルガモ走行」は、有人走行でのスタートとなります。
このトラック隊列走行、いわゆるカルガモ走行の実証試験は、産学官連携の国家プロジェクトとして自動運転技術開発に取り組んでいますが、その背景にあるのは、慢性的なトラックドライバー不足の解消と、トラックドライバーの働き方改革があります。
トラックドライバーが慢性的に不足している要因は、ドライバーの肉体的・精神的負担が大きいからです。日本では、荷物到着の時間厳守に対する意識が厳しく、そのために長時間勤務や休日が少ないなど、他の職種よりもきわめて厳しい労働環境を強いられています。
それを解消するために、先頭のトラックにはドライバーが交代で当たり、続くトラックを無人化することで、労働環境を改善していくことを目指しています。
「カルガモ走行」が注目されているのは、省力化によるトラックドライバーの働き方を変えるだけでなく、いずれは乗用車での無人隊列走行の実用化も、決して夢物語とはいえなくなるからです。
最近の各自動車メーカーのテレビCMで、自動運転技術の進化をアピールする内容が増えているように、現実味を帯びてきていることは明らかです。
GPSの位置情報や高精度三次元地図、そして、次世代の通信インフラとされる5Gなどを活用で、自動運転の安全性が、より確立されることになるでしょう。
もちろん、安全性が担保された自動運転が実用化されるまでには、通信や道路のインフラ整備など、越えなければならないハードルはまだまだありますが、高速道路での大型トラックのカルガモ走行が、未来のクルマ社会を映し出すことになるのではないでしょうか。
自動運転がスタンダードになれば、スピード違反や、いま大きな社会問題となっている“あおり運転”などは、減少していくかもしれません。いずれにしても、テクノロジーの進化は、生活スタイルを一変させることになりそうです。
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