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新型コロナウイルスの社内集団感染を防ぐため、中小企業の間でもテレワーク(在宅勤務)の導入や導入を検討する動きが活発化しています。
この緊急対応で直面しているのが「人事評価をどうするのか」の問題といわれています。中でも近年、中小企業でも導入が広がっているといわれる目標管理制度は、テレワーク(在宅勤務)環境下でも運用できるのでしょうか。
目次【本記事の内容】
目標管理制度とは、人事制度の基本三要素である「等級制度」、「報酬制度」、「評価制度」のうちの評価制度の新しい手法のこと。
元々は経営学者のピーター・ドラッカーが1954年に著した『The Practice of Management(現代の経営)』において提唱した企業経営の概念「MBOːManagement By Objectives and Self Control」のことです。すなわちドラッカーは「社員のモチベーションが高まれば、必然的に企業全体の労働生産性が高まる」と提唱したのでした。
その後、ドラッカーを含む米国の経営学者たちによって同概念が理論化され、1960年代に新しい経営理論として米国企業の間に普及し、米国の経営現場でその理論が肉付けされ、手法が確立されてゆきました。
日本では、1990年代後半から急速に普及した成果主義の弊害を是正する人事評価制度として同概念が注目され、2000年以降、人事評価の新しい手法として「目標管理制度」が独自に体系化され、日本企業の間で普及したといわれています。
目標管理制度は、一般に「目標管理シート」を用いて運用します。同シートに業績、職務遂行、能力開発、業務改善の4目標を設定し、目標達成期間終了後、同シート記載事項に基づき上司と部下の双方で目標達成・未達の要因と課題をチェックするのが、目標管理制度の特徴です。これにより人事評価の客観性と透明性を担保すると共に、次の目標達成に向けた行動改善の手引きともなっています。
テレワーク(在宅勤務)環境下での目標管理制度を考察する前に、リモートワーク環境下ではどのような人事評価の問題が発生しているのかを見てみましょう。
社員の勤務実態を直接把握できないテレワーク(在宅勤務)において、人事担当者が頭を抱えているのが人事評価といわれています。その要因は多々挙げられていますが、基本的に次の2つに集約できます。
テレワーク(在宅勤務)では、オフィスワークのようにタイムカードで勤怠管理ができないので、一般には社員の自宅パソコンのログイン・ログアウト時間や操作のログなどで勤怠管理をすることになります。これでは社員がその時間帯に実際に就業しているかの確認ができません。
このため、リモートワーカーには「事業場外みなし労働時間制」を適用する企業もありますが、「長時間労働の温床になる」との批判もあり、今は賛否両論並立の状況です。
テレワーク(在宅勤務)では社員の勤務実態が把握できないため、業務プロセス評価も困難になっています。
オフィスワークのように、例えば同僚とのチームワークで目標を達成した、遅れている後輩の業務をサポートしたなどの業務プロセスは、テレワーク(在宅勤務)では把握がほぼ不可能だからです。
テレワーク(在宅勤務)においては、リモートワーカーとオフィスワーカーを同一基準で評価すること自体に、人事制度上の無理があるといえるでしょう。
リモートワーカーを適正に人事評価するためには、一般に次の施策が必要といわれています。
これはオフィスワーカーと共通することですが、明確な目標設定は絶対的な人事評価条件といえるでしょう。
人事評価が数値的な成果主義に偏るのを避けるためには、業務プロセス評価が欠かせません。リモートワーカーの場合、オフィスワーカーのようにリアルな業務プロセス把握はまず不可能です。しかし、ビデオ電話やWeb会議ツールを使って互いの顔が仮想的に見える状態で上司が部下と定期的に面談し、業務の進捗状況をヒアリングすると同時に、目標達成のためにどんな工夫をしているのか、どんなことで困っているのかなどをヒアリングすることで、リモートワーカーの業務プロセスをリアルに近いレベルで把握し、評価することが可能になります。
チームワークや業務サポートはリアルなオフィスワークだけではなく、今やチャット、ビデオ電話、Web会議などのICTツール活用で十分可能な時代になっています。したがってこれらツールの通信履歴を追跡するだけでも、上司は部下の業務プロセス把握が可能でしょう。
リモートワークで希薄になるコミュニケーションは、上司と部下の間だけではありません。
同僚や関連部門担当者とのコミュニケーションも希薄になってしまいます。同僚同士の助け合い、励まし合いはもとより、朝夕の挨拶や雑談もままならない孤立的な勤務環境に置かれるからです。これを補うのが朝会と週末会のリモート開催といえます。
まず朝会では、時間を決めて部門長を含めた部門内のリモートワーカーとオフィスワーカーが仮想的に一堂に会し、当日の予定や連絡事項の情報を共有します。これだけでもリモートワーカーの場合は「始業開始」のスイッチが入り、孤立感も和らぐでしょう。
次に週末会では、金曜日に時間を決めて朝会と同様の形でその週の成果、成功・失敗事例、気付き、業務改善提案などを発表し合うことで、「助け合い、励まし合う場」を仮想的に創出します。これにより部門内のポジティブな情報共有が活性化され、リモートワーカーとオフィスワーカーの間でずれがちなベクトル合わせもできるしょう。またメンタル的に孤立しがちなリモートワーカーも、これでモチベーション低下を防げるでしょう。
リモートワーカーの人事評価については、「リモートワーカーを孤立させない、モチベーションを低下させない、会社への求心力を失わせない」視点で、オフィスワーカーとは別の制度設計をする必要があります。
現状において、この制度設計に適しているのが目標管理制度と見られています。目標管理制度は、上司と部下が事前の合意で設定した定量・定性の2軸で構成する4目標を評価する仕組みなので、リモートワーカーでも適正な人事評価がしやすいからです。
そこでリモートワーカー向けの目標管理制度設計においては、まず既存の目標管理制度がリモートワークでも有効か否かを検証する必要があります。その結果により、既存の目標管理制度のどの部分をリモートワーカー向けに修正すれば良いのかが見えてくるでしょう。
この制度設計は無論、先に述べた定期的なリモート面談、リモート朝会・週末会などの施策を盛り込んで行うことが重要です。
新型コロナウイルス終息の見通しがつかない現在、企業規模の大小にかかわらずリモートワーク導入は不可欠な状況になっています。したがってリモートワーク対応の人事評価制度設計は、人事担当者の喫緊の課題といえるでしょう。
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