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日本の会社法では、会社の役員を取締役、監査役、会計参与と定めています(会社法の細則を定める会社法施行規則では、これに執行役・理事・監事などを含める)。近年では、取締役を経営に専念させる目的で執行役員を設置する企業も増えてきましたが、役員と名前が付きながら執行役員は「役員」ではありません。執行役員とは何を目的に設置され、どのような待遇なのでしょうか?今回は取締役などとの兼任ではない「従業員身分の執行役員」についてご紹介していきます。
会社法で定められた会社の役員は、取締役、監査役、会計参与となりますが、それぞれどのような役割を持っているのでしょうか?
●取締役
株式会社の重要事項や方針を決定する権限を持つ役職です。取締役会を設置していない会社では1名以上必要となります。取締役会を設置している会社では3名以上必要で、数名で取締役会を構成します。
●監査役
取締役の業務執行状況や、会計を監査する役職です。株式を公開していない会社であれば、設置は任意となります。
●会計参与
取締役と共同して、会計書類(計算書類)などを作成する役職です。公認会計士、監査法人、税理士、税理士法人でなければ会計参与にはなれません。
会社法で定められた役員と執行役員は明確に違います。まず執行役員は会社法や商業登記法にその定めがありません。役員という名前がついてはいますが、役員ではなく従業員なのです。ですから執行役員は、役員のように会社の重要事項や方針を決定する権限は持っておらず、通常は役員が決定した重要事項を実行する役割を担います。
本来、取締役は「意思決定および監督」と「業務執行」の役割を持っていますが、取締役が経営に専念できるように「業務執行」の部分を執行役員に任せます。ですから会社内では、執行役員と事業部長や本部長、部長、課長などを兼任する場合もあります。欧米では以前から設置が進んでいましたが、日本では1997年にソニーが執行役員制度を導入したことにより、広く知られるようになったといわれています。
このような立場の執行役員を設置することにより、会社にはどのようなメリットがあるのでしょうか?
●取締役が経営に専念できる
取締役と執行役員の役割を明確に分けることにより、取締役は会社経営に関する重要な意思決定に専念し、業務執行などの実務は執行役員に任せることができます。
●実務における意志決定がスピーディーにできる
役割を分け、適切に権限委譲することで現場レベルでの意志決定をスピーディーに行えるようになります。また、会社における中間的立場の執行役員を設置することにより、会社の経営方針を従業員にスムーズに伝え、逆に現場の意見を経営に反映しやすくする役割も期待できます。
●役員候補の人選ができる
執行役員はあくまで従業員という位置付けですが、従業員の最高位である場合が多く、任命は役員候補の人選としての役割も期待できます。執行役員として経営を考慮した業務執行の経験を、役員へのステップとする企業も多いようです。
メリットも多い執行役員の設置ですが、デメリットもあります。役員と名前が付いているが故に、立場が不明確になってしまう場合です。特に部長、課長などと兼任する場合には、役職が形骸化したり現場が混乱したりするようなことが起きます。それぞれの役職の権限は、あらかじめ明確にしておく必要があります。
日本の場合、実際にはどれだけの企業が執行役員を設置(選任)しているのでしょうか?民間調査機関である一般財団法人 労務行政研究所の調査によれば、回答を依頼した142社のうち68.3%が選任していると回答しました。内訳を見ると300人未満の会社規模では52.9%にとどまりましたが、300〜999人規模では79.2%、1,000人以上の規模でも74.4%が選任しているとの回答になっています。
会社の規模が大きくなれば、経営と現場の中間的立場である執行役員の必要性が高くなるともいえそうです。
同じく労務行政研究所の調査によれば、「従業員身分の執行役員」の年間報酬の平均額は1,511万円となっています(役付執行役員である専務執行役員と常務執行役員を除く)。
会社の規模別に見ると1,000人以上が1,985万円、300~999人規模が1,356万円、300人未満が1,163万円という結果になり、会社の規模により幅のあることがわかります。
また平均ではなく年間報酬の分布を見ると、最低額の650万円から最高額の4,610万円まで幅は広いものの、最頻値は1,200万~1,400万円未満(19.3%)となり、全体の60%あまりが800万~1,600万円未満の範囲に収まっていることがわかりました。
今回、労務行政研究所は兼務をしていない取締役の報酬調査(60社)も行っていますが、その平均額は1,775万円でした。執行役員制度を設ける企業は年々増加する傾向にあるようですが、その目的は取締役の機能を経営に集中させることです。経営環境の変化が激しく進む中で、実務を取り仕切る執行役員の重要性は今後も増していくと思われます。社外から執行役員を登用する場合などを考えれば、この報酬の差を早急に埋めておくべきかもしれません。
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