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経済産業省では、わが国企業の経営戦略や産業構造の変化の実態を明らかにする「経済産業省企業活動基本調査」を実施していますが、この度、2019年調査結果(2018年度実績)の速報版が公表されました。
経済産業省企業活動基本調査の対象業種に格付けされた企業は28,270社で、1企業当たりの売上高の前年度比はプラス1.3%と2年連続の増加となり、1企業当たりの経常利益の前年度比はマイナス3.2%減と7年ぶりに減少しました。
また、付加価値額は、営業利益の減益などにより減少し、労働分配率は、給与総額が増加し付加価値額が減少したことから上昇しています。
それでは、1企業当たりの売上高と経常利益について、産業別にみていきましょう。
2018年度の1企業当たりの売上高を主要産業別にみると、製造業は228.0億円で前年度比1.3%増、卸売業は420.5億円(前年度比3.7%増)で2年連続増加しています。一方、小売業は246.8億円で前年度比2.9%減となり、2年ぶりの減少となっています。
しかし、営業利益となると、製造業、卸売業は3年ぶり、小売業は2年ぶりに減少に転じ、1企業当たりの経常利益は13.3億円で、前年度比3.2%減と7年ぶりに減少となっています。
主要産業別にみると、製造業は16.6億円(前年度比4.8%減)、卸売業は13.3億円(前年度比1.0%減)、小売業は7.3億円(前年度比4.1%減)となり売上高が増加している産業が多い割には、軒並み利益率は減少傾向にあるということが、この速報版から読み取ることができます。
経常利益の減少が目立つのは、製造業では化学工業、輸送用機械器具製造業、石油製品・石炭製品製造業、卸売業では産業機械器具卸売業、石油・鉱物卸売業、小売業では機械器具小売業、医薬品・化粧品小売業などです。
営業利益、給与総額、減価償却費、福利厚生費、動産・不動産賃借料、租税公課を合わせた付加価値額をみていくと、給与総額などは増加しましたが、営業利益が減少したことにより、128兆2,968億円で前年度比0.7%減となりました。
産業別では、製造業が62兆1,399億円(前年度比1.7%減)、小売業が16兆6,765億円(同1.6%減)でしたが、卸売業は営業利益の減少幅が小さかったため、前年度比0.2%増の16兆5,472億円となっています。
付加価値額が減少し、給与総額が増加したことで、労働分配率は、前年度より1.0ポイント増の48.7%となりました。産業別では、製造業47.8%(前年度比1.7ポイント増)、卸売業48.6%(同0.1ポイント増)、小売業49.9%(同0.5ポイント増)です。
一方、日本産業が抱えている課題の労働生産性は、付加価値額が減少し、常時従業者数が増加したことにより、前年度比マイナス1.0%減少の884.2万円です。
産業別では製造業1,170.3万円(前年度比マイナス1.8%減)、小売業497.1万円(同マイナス0.9%減)が減少し、卸売業は1,093.0万円と前年度比プラス1.3%の増加となりました。
売上が伸びれば、利益が上がるというほど企業活動は単純なものではありません。また、労働分配率や労働生産性の向上にも取り組んでいく必要があります。経営者はもちろん、企業活動を支える経営戦略の担当者は、わが国の産業構造の変化の実態を把握しておく必要がありそうです。
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