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大企業によるスタートアップ企業への投資やベンチャー企業との提携など、これまでの常識とはかけ離れた動きが活発になっています。その動きを加速させるとみられているのが、政府が検討している、非上場企業への出資に対して法人税額を控除する案を検討していることです。
第4次産業革命といわれる今、経済全体が “100年に1度の大変革期”を迎えているとされています。そうした変革期の税制改正の焦点の一つとなっているのが、企業の内部留保を投資につなげるための税制の新設についてです。
検討されている税制は、設立10年未満の非上場企業への1億円以上の出資を対象に、出資額の一定割合を法人税から控除しようというものです。
高度情報化時代となり、あらゆる産業でデジタル化が進み、AI(人工知能)といった新技術や、シェアリングエコノミーなど、これまでの常識を覆すような新しいビジネスも次々台頭しています。
そうした時代に生き残っていくためには、先進性や行動力にあふれたベンチャー精神や、意欲的なイノベーションへの取り組みです。ところが、大企業は史上空前の内部留保をため込んでいるものの、それを新規事業に活用するといった発想が乏しいようです。
そこで着目したのが、新規事業に取り組むベンチャーに、大手企業の出資を促すための優遇税制で、新しい時代にふさわしい企業の変革につなげていこうというものです。
政府与党は、中小企業も活用できるよう、企業規模に応じて出資額の条件を引き下げることや、損金算入を認める準備金を設けるほか、課税を将来に繰り延べる案も検討し、令和2年度の与党税制改正大綱に盛り込む方針です。
ところで、資金が豊富な大企業は、変革が求められているにもかかわらず、しがらみや古い慣習からなかなか抜け出すことができず、変革が後手に回りがちです。
2018年度の法人企業統計調査(財務省)によると、資本金10億円以上の大企業の内部留保は、449兆1420億円となり、過去最高を更新しています。この内部留保をいかに吐き出させ、経済成長につなげていくかが、以前から課題とされてきました。
一方、新しい時代に対応する技術を有しているものの、資金力が乏しいのがベンチャー企業です。技術があっても資金がないベンチャー企業に、資金が豊富な大企業が出資しやすくなれば、産業の活性化につながるといえるのではないでしょうか。
ジャパンベンチャーリサーチの調べによると、スタートアップと上場企業の事業提携件数は、2018年は92件で、15年と比べると2倍以上になり、国内スタートアップの資金調達額も、約4,000億円にも上っています。
もちろん、大企業による投資額も年々増加傾向にあり、大企業が母体のベンチャー投資会社であるコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)も急増しています。
つまり、政府が非上場のベンチャー企業への出資に税控除を検討しようがしまいが、既にビジネスの現場では、大企業とベンチャー企業によるオープンイノベーションの動きは、確実に広まってきているといえるでしょう。
まさに“100年に1度の大変革期”が、現実に動き出していることを、ビジネスパーソンは意識しておく必要がありそうです。
この税制改正案が、令和2年度の与党税制改正大綱に盛り込まれ、法案が成立となれば関係省庁(経産省等)への各種申請も必要になると思われます。そのためには、公認会計士や税理士、弁護士などのサポートも必要になりそうなので、担当者は、今から勉強をしておいた方がいいかもしれません。
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