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2015年9月に国連で採択されたSDGs(持続可能な開発目標)は、各国政府だけが目標達成に向けて努力するのではなく、企業やNGOといった民間組織にも努力要請が行われている点が大きな特徴です。
しかし企業にとってみれば、SDGsは直接売上・利益を生み出す取り組みではありません。そのため、SDGsに注力し過ぎると、財務状況に悪影響が出るのではないか・・・とも思われますが、実際のところはどうなのでしょうか。
今回は、日本企業のSDGsへの取り組み具合と、積極的にSDGsに取り組んでいる企業の財務状況について見ていきます。
目次【本記事の内容】
持続可能な世界を実現するための目標として定められたSDGsは、17の国際目標によって構成されています。17の国際目標とは、具体的には、
①貧困、②飢餓、③保険、④教育、⑤ジェンダー、⑥水・衛星、⑦エネルギー、⑧成長・雇用、⑨イノベーション、⑩不平等、⑪都市、⑫生産・消費、⑬気候変動、⑭海洋資源、⑮陸上資源、⑯平和、⑰実施手段
などの領域においてそれぞれ設定され、達成期限は2030年です。
SDGsの大きな特徴の1つとして、政府だけでなく企業やNGOなどの民間組織にも、目標実現に貢献するよう求めている点を挙げられます。近年では、こうした国際社会の意向を受け、積極的にSDGsに取り組んでいる日本企業も多いです。外務省のホームページでは、17の目標ごとに貢献度の高い企業名が公表されています。
日本経済新聞社は12月2日、上場企業を始めとする国内637社を対象に、SDGsにどのように取り組んでいるかを調べた「SDGs経営調査」の結果を発表しました。この調査では、SDGsへの取り組み具合を
①SDGs戦略・経済価値(SDGsの方針策定、推進体制、社内外におけるコミュニケーション、業績への功績など5つの指標)
②社会価値(人権尊重、消費者の課題への対応、ダイバーシティの推進など5つの指標)
③環境価値(電力消費や気候変動、資源、生物多様性への対応など6つの指標)、
④ガバナンス(取締役の構成、業績連動報酬などをまとめた1つの指標)
の4つの評価項目に分けて得点化し、「偏差値」によって格付けを行いました。
調査結果によると、評価項目の偏差値が70以上である企業は、キリンホールディングス、コニカミノルタ、リコーの3社です。このうちコニカミノルタは、日本経済新聞社がSDGsに貢献している先進企業を表彰する「日経SDGs経営大賞2019」の大賞にも選ばれています。
二酸化炭素削減の取り組みによって達成できた量が、自社の事業活動で排出した二酸化炭素の量を上回ることを目標とする「カーボンマイナス」の取り組みや、モノをネットにつなげるIoTを介護現場において活用できる技術の開発など、幅広い活動が評価されての受賞でした。
偏差値65~70以上にランクインした企業は31社です。このうち電気機器メーカーの「オムロン」は、手首に装着できる腕時計タイプの血圧計を開発し、脳卒中、心筋梗塞の削減に貢献する機器として期待されています(SDGsの目標3「すべての人に健康と福祉を」などに該当)。
また、三菱ケミカルホールディングスは、風力発電機の翼に使用する炭素繊維を開発し、エネルギー供給拡大に貢献する取り組みを進めている点が評価されました(SDGsの目標7「持続可能かつ近代的なエネルギーへのアクセス確保」などに該当)。
この日経の調査では、偏差値60以上に該当するSDGs経営に積極的な企業は、合計で117社となっています。これら偏差値の高い企業に共通しているのは、SDGsに対して「社会的責任を果たすために、コストをかけて仕方なく取り組む」という消極的な姿勢をとっていないという点です。コニカミノルタやオムロン、三菱ケミカルホールディングスのように、SDGsを新たな事業機会、新製品開発の機会として捉え、自社の事業内容とリンクさせながら積極的に取り組んでいます。
SDGsが新たな事業機会・新製品開発の機会と関連性を持っていることは、SDGsに積極的な企業の財務状況からも明らかです。日経のSDGs経営調査では、SDGs経営調査で偏差値が高かった企業は、売上高営業利益率と自己資本利益率(ROE)が高いことが明らかにされています。SDGsの偏差値と各利益率の値は以下の通りです。
SDGsの偏差値が55~60未満・・・売上高営業利益率は平均6.7%、ROEは平均8.2%
SDGsの偏差値が60~65未満・・・売上高営業利益率は平均7.8%、ROEは平均10.1%
SDGsの偏差値が65以上・・・売上高営業利益率は8.2%、ROEは11%
偏差値と利益率の間に明確な相関関係があることが見てとれます。SDGsに積極的に取り組んでいる企業ほど利益率が高い、すなわち財務状況が良好な状態であるわけです。
国連が民間企業に与えた大きな課題ともいえるSDGsですが、各企業は自らの事業内容とSDGsを適切にリンクさせ、利益の向上に結び付くような形で取り組みを進めています。実際、SDGsに積極的に取り組んでいる企業ほど、売上高営業利益率、自己資本利益率(ROE)の数値は高いです。SDGsへの取り組みは、企業にとって多大なコストを発生させる足かせなどではなく、自社を成長させ、企業価値を高めることにつながる重要なチャンスであるといえるでしょう。
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