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厚生労働省は、過労死等防止対策推進法に基づき、「平成30年度 我が国における過労死等の概要及び政府が過労死等の防止のために講じた施策の状況」を、「令和元年版過労死等防止対策白書」として公表しました。
目次【本記事の内容】
「過労死等防止対策白書」は、過労死等防止対策推進法の第6条に基づき、国会に毎年報告を行う年次報告書で、令和元年版は4回目となります。白書の中身は以下の通りです。
第1章 労働時間やメンタルヘルス対策等の状況
1 労働時間等の状況
2 職場におけるメンタルヘルス対策の状況
3 自殺の状況
第2章 過労死等の現状
1 過労死等に係る労災補償の状況
2 国家公務員の公務災害の補償状況
3 地方公務員の公務災害の補償状況
第3章 過労死等をめぐる調査・分析結果
1 重点業種・職種の調査・分析結果
(1)建設業の調査・分析結果
(2)メディア業界の調査・分析結果
2 認定事案の追加収集・分析結果
第4章 過労死等の防止のための対策の実施状況
1 労働行政機関等における対策
2 調査研究等
3 啓発
4 相談体制の整備等
5 民間団体の活動に対する支援
令和元年版白書のポイントは、新大綱で追加された2つの重点業種・職種(建設業、メディア業界)についての調査分析結果と、業界団体、企業等のメンタルヘルス対策等の取組事例をコラムとして数多く掲載していることです。
白書の中から、気になる箇所をピックアップしてみました。
まず労働時間ですが、週60時間以上の勤務は、平成29年と比較して約35万人減少し、年次有給休暇の取得率は18年ぶりに5割超、勤務間インターバル制度を知らない割合も大きく減少するなど、いずれも改善傾向にあるようです。
次に、職場におけるメンタルヘルス対策の状況ですが、仕事上のストレス等について職場に相談先がある労働者の割合、ストレスチェックの集団分析結果の活用状況は、いずれも前年に比べて改善しています。
ただ、小規模な事業場におけるメンタルヘルス対策の取組割合が低く、これからの課題といえそうです。
過労死等の認定件数は、脳・心臓疾患、精神障害ともに、横ばい傾向が続いているようです。
民間は「労働力調査」(平成30年度)、国家公務員は「一般職国家公務員在職状況統計表」(平成30年度)、地方公務員は「地方公務員給与実態調査」(平成29年度)の雇用者数から、100万人あたりの認定件数を推定したのが以下の件数です。
【脳・心臓疾患】
民間4.2件、国家公務員4.5件、地方公務員4.6件
【精神障害】
民間8.2件、国家公務員6.8件、地方公務員11.0件
平成22年1月から平成27年3月までに認定された約5年間の事案を対象に調査・分析を実施した結果、精神障害事案では、男性は、「仕事内容・仕事量の変化を生じさせる出来事があった」(23.1%)が最も多く、次いで「嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた」(15.9%)、「上司とトラブルがあった」(15.3%)が多くなっています。
女性は、「悲惨な事故や災害の体験、目撃をした」(21.9%)が最も多く、次いで「セクシャルハラスメントを受 けた」(19.7%)、「嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた」(16.6%)が多く、社内でのハラスメント防止対策の重要性を、改めて認識させられる結果となっています。
休みもなく、長時間、連続して働き続けることが、心身への障害、そして過労死にもつながる恐れがあります。社員が健康的に、安心して働くことができる職場環境を整えることは、事業者の責任です。総務などの担当者には、過労死の現状を把握し、防止する対策を構築することが強く求められています。
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