「在宅ホスピスの研究と普及」をミッションとして掲げ、超高齢社会における重要課題の一つである「看取り」へ対応するため、看護師・リハビリ療法士・介護士を中心に在宅ホスピスサービスを提供している、
日本ホスピスホールディングス株式会社 。同社の、常務取締役 管理本部長である
加藤晋一郎 氏にお話を伺いました。
ホスピス住宅は、自宅と病院の「いいとこ取り」 最期の時間を、自由に、安心して過ごしてほしい
― まずは、御社の事業内容をお聞かせください
主な事業は、在宅ホスピス事業で、弊社は、入居者を主に末期がんや難病の患者に限定して、ホスピス住宅にてケアサービスを提供しています。
現在、日本では社会保障費が増大していることもあって、病院を中心とした施設から在宅(自宅)へと医療がシフトしています。また、昨今は、終末期を自宅で過ごしたいと希望する患者さんが多くなっている一方で、介護するご家族も高齢化が進んでいるため、ご家族の負担は大きく、そうなるとご本人も遠慮したり、という話をよく聞きます。プロの医師や看護師が不在なので、いざというときにも困りますしね。さらには、末期がん患者等が増加している中、受け入れる施設数が圧倒的に不足しており、「医療難民化」が進行してるんです。
そこで、弊社は、事業としてホスピス住宅というものを考え、造りました。ホスピス住宅は、自宅の自由度と病院の安心感、どちらの要素も兼ね備えています。過ごし方に制限はなく(=自宅の自由度)、看護師や介護士、リハビリスタッフが常駐しているので、医療依存度の高い方も安心して過ごすことが出来るんです(=病院の安心感)。
― なるほど。今後、高齢化社会が進むにつれて、より需要が高まっていきそうですね。その意味で、国策ともかかわる事業になりますか?
そうですね。むこう何十年と課題になるものですから、密接にかかわっています。
弊社は、現時点では、サービス対象者を限定しているので、超巨大企業になる事を想定していませんが、コンパクトに、社会に必要とされるサービスを提供していきたいと思っています。自分自身もコンパクトな企業が好きですし。
初めてホスピス住宅を訪れた時、自分や自分の両親も、こういうところで最期の時間を過ごせたら良いなと感じました。
海外移住の夢を現実にしたら、気づけばシリコンバレーで社長に就任していた。
― コンパクトな企業が好きということですが、それは昔からですか?
段階的にそう考えるようになっていきました。
最初は、公認会計士の資格を取って監査法人に入ったのですが、学生時代、漫然と就職活動をする気になれずにいて、会計士になったら、創業社長と話す機会がたくさん出来るのかなと思って、選んだんです。そこで8年やって、確かに多くの経営者とお話できるのはすごく刺激的でおもしろかったのですが、監査はあくまでも、事業会社が作成した決算書等を検証する仕事ですので、徐々に、事業会社のなかで、プレーヤーとして物事を動かしてみたいという思いが強くなっていきました。
そこで、転職しようと考えていたのですが、この頃に結婚をしまして。新婚旅行で海外に行ったときの体験が素晴らしく、海外に住んでみたいという強い気持ちが生まれました。
このとき、SARSという感染病が流行った時期で、海外渡航者が少なく、キャンセルも多く、行く先々で、ホテルや航空券のグレードアップ等、良いサービスをしてもらえました。素晴らしかった体験というのは、これです(笑)
とにかく、いままで一度も海外に興味を持ったことが無く行ったこともなかったのに、急速に海外に惹かれていきました。良いサービスを受けられたのもそうですが、肌に合っていたのかなと思います。
英語が全く話せなかったので、帰国後は英会話スクールに通ったものの、会話が出来るようになるまで時間がかかり過ぎると感じ、米国の公認会計士を受験する事にしたんです。試験に合格したのち、転職活動を経て、米国シリコンバレーの医療機器メーカーにCFOとして入社することになりました。