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帝国データバンクが発表した、2019年5月の「TDB景気動向調査」によると、「国内景気は後退局面入りの可能性」があり、「米中貿易摩擦と大型連休による悪影響」や「消費税率引き上げによる消費減退の懸念」などで、不透明感が一層強まっているという。
しかも、10業界すべてが1年1か月ぶりに、地域別でも10地域が4か月ぶり、企業規模別でも、大企業・中小企業・小規模企業のすべてが2か月連続で悪化という、かなり深刻な景気後退局面に入ったといえる状況だ。
その大きな要因は、やはり米中貿易摩擦による影響だ。半導体関連など中国向け輸出の減少が続き、企業マインドの冷え込み、投資の先送りにつながっているとみられる。
また、大型連休による稼働日数の減少が、企業活動の停滞を招いたほか、4 月中の前倒し発注を受けた反動で受注が減少したことも影響しているようだ。また、連休後の消費の減退、人手不足や燃料価格の上昇も、企業収益を圧迫しているようだ。
気になるのは、オリンピック需要で景気がいいはずの東京23区や、万博が予定されている大阪市など、大都市圏の落ち込みが、全体を下押しする要因となっていることである。
ところが、政府が発表した、5月の「月例経済報告」では、日本経済の総括判断を2か月ぶりに下方修正したものの、「緩やかに回復している」との文言は残したままで、政府の景況判断は、あくまでも“回復基調”というものである。
それにしても、この“緩やかに”にという表現が曲者だ。そういえば、政府が連発する“もはやデフレではない”という表現も、何やら曖昧で、実態から目を逸らしているような印象を受ける人も多いのではないだろうか。
さて、「景気後退局面入り」と「緩やかな回復」のどちらが、実態をとらえているのだろうか。人手不足や原材料価格の上昇によるコスト負担増は、今後も企業の収益を圧迫することになるだろうし、消費税引き上げによる個人消費の冷え込み、日米通商交渉の動向など、目立つのはマイナス要因ばかりだ。
もっとも、景気動向の実態は、ビジネスの現場で、日々、肌で感じているに違いない。曖昧な政府発表に惑わされることなく、ビジネスパーソンとしての肌感覚を研ぎ澄ますことこそが、重要といえそうだ。
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