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仕事帰りにキュッと飲む一杯のビールを楽しみにしているビジネスパーソンも多いでしょう。しかし、ビールは酒の中でも一番税率が高く、約4割が税金であることをご存知でしょうか。もちろんビールだけでなく、それ以外のお酒にもそれぞれ税金はかけられています。
花見で飲んだビールも、歓送迎会で傾けた徳利も、税金を飲み干していたのかと思うと悪酔いしそうですが、今回は、酒税について取り上げてみました。
お酒には、酒税という名の税金がかけられています。酒税法により、アルコール分1%以上の酒類に課せられており、そのうえに消費税もプラスされています。
酒税を納めるのは酒類を製造する業者や販売業者ですから、お酒を飲むにしても買うにしても、税金を負担していることをそれほど意識することはありません。
しかし、税負担を少しでも軽減するために、発泡酒や第3のビールなどが続々と登場したこともあって、消費者の側にも酒税に関する意識が、否が応でも高まってきています。
酒税の税率は、お酒の種類(酒税法では、お酒の種類を発泡性酒類、醸造酒類、蒸留酒類、混成酒類の4種類と17品目に分けています)と、アルコール度数によって、アルコール分ごとに1キロリットル当たりの税率が酒税法で決められています。
しかし、ビールや果実酒は、アルコール度数にかかわらず定額となっているため、他の酒類よりも税額が高く設定されているのです。
平成24年度の酒税の総額は1兆3,496億円ですが、そのうち酒類の中で一番税率が高いビールが44%を占めています。
税金分がビールの販売価格にスライドするわけですから、当然、ビールの売り上げにも大きく左右することになります。ビールメーカーはその対抗手段として、税金が安くなる発泡酒や第三のビールを生み出したわけです。
しかし、政府にとっては、貴重な財源です。ビールの税収をなんとしても確保しておきたいところでしょう。そこで、平成29年度の「税制改正大綱」で、10年間で、ビール・発泡酒・第三のビールの税率を一本化する方針を示しましたが、当然、大きな波紋が広がっています。
では、酒類の中でビールの税額がなぜ高いのでしょうか。それを知るためには、酒税の歴史を振り返る必要があります。
酒税は、お酒の売買が盛んになった室町時代、酒造業者に課せられたのが始まりのようです。江戸時代になり、幕府は、酒造株制度によって、今でいう酒税を徴収していたそうですが、思い通りに税収が上がらないことから、新たに“酒運上”を設けました。
酒運上とは、「造り酒屋の営業税」と「酒造株」という「免許」の発行手数料ですが、価格の5割という高いもので、酒造業者は生産を控え、お酒の値段も高騰したことから、これまた幕府の思惑とは裏腹に、思うように税収アップとはならなかったそうです。
江戸幕府から明治政府となり、地租改正条例によって税体系が整備されていきますが、お酒の税金は、時の政府がどうしても手放したくなかったようで「酒類税」として残り、現在の酒税法の元となっています。
酒類の製造免許は明治28年(1895)、販売免許は昭和13年(1938)に制度化され、昭和28年(1953)に酒税法が制定されています。
もちろん、この間何度も改正され、増税が行われてきたことは言うまでもありません。ちなみに、明治20年代後半から30年代前半には、国税に占める酒税の割合は3割から4割を占めるようになり、国税税収のトップになりましたが、現在は3%程度に落ち込んでいます。
さて、ビールの税率ですが、日本酒と比較するとおよそ5倍です。その理由は、日本にビールが輸入されたのは明治3年(1870)で、いわゆる舶来品、高級品、贅沢品といった扱いだったからのようです。
ちなみに、明治8年(1875)の酒類税則では、酒造営業税と酒精請売営業税、さらに醸造税が課されていました。課税対象となったのは清酒、濁酒、味醂などで、ビールは醸造税の対象外だったのですが、明治34年(1901)にビールへの課税が始まりました。
酒税は間接税ですから、普段消費者は納税しているという意識は薄いでしょう。しかし、ビール類の税額が一本化されることになると、価格が安いことがウリの発泡酒や第3のビールが値上がりとなります。
会社での飲み会を仕切る幹事役にとっても、酒税の行方は気になるところではないでしょうか。
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